教育実習生の授業参観 (2018.6.11)

 平成30年度も早6月半ばとなり、去る6月6日には関東地方の梅雨入りも発表となり、今日は朝から激しい雨に見舞われてしまいました。本校では、去る5月28日(月)~3週間にわたり今年度の教育実習生11名を受け入れており、今週はそのラストウイークということでもあり、実習生の授業を参観しておりますので、本日から暫く実習生の授業を紹介しようと思います。

毎年のことながら、本校の教育実習生の受入れは、本校の卒業生であることを原則として受け入れておりますが、各期の卒業生約120名として、その1割に当たる人達が、教師を目指して実習に来てくれます。長く教員人生を経てきましたが、毎年卒業生の1割相当に上る人が実習に来る学校というのは経験がなく、自分もいずれ教職に就きたいという思いを抱いて、まるで鮭が生まれた川に戻ってくるように、教育実習に戻ってきてくれるということは、中高一貫6年間でいかに先生方との緊密な関係が構築されていたかということに思いを馳せ、大変喜ばしく思っております。

 その実習生の中から、本日は中学1年生の理科(生物分野)の授業を参観しましたので、以下にご紹介致します。

 

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 よく学校説明会でご紹介しているように、本校の中学理科は週4時間あり、それを第1分野(物理・化学)と第2分野 (生物・地学)とに分けて実施し、3年間で100を越える実験・実習授業を展開しております。本時では、「タマネギの鱗茎の表皮細胞とヒトの口腔上皮細胞を観察し、植物細胞と動物細胞の大きさや構造の違いを理解する。」目的で、タマネギと各自の口腔内細胞とを材料に、一人一台の顕微鏡を使って、その構造上の違いを確認させておりました。実習器具としては、顕微鏡(1人1台当て)、プレパラートセット(スライドガラス、カバーガラスなど)、スポイト、ピンセット、薬品には、核を染めて見やすくするための酢酸カーミン(かなり強烈な臭い有り)を用いておりました。まずは実験に入る前に、この実験の意義、方法等についての説明がありましたが、23名という少人数でもあり、皆礼儀正しく先生の話をよく聞いた上で、いざ実験ということになると1人1台ずつ、積極的に顕微鏡を受け取り、手早くセットして各自実験に入りました。ただ、タマネギの鱗片葉の内側の表皮をカッターで約5㎜四方の大きさに切ってはぎ取り、スライドガラスに載せる段階で多少の器用さ加減が現れて、実験の進行度合いに差が出てきました。ここで注目すべきは、実験そのものは、個人の作業ではあるものの、4人のグループ内では、互いに相談したり、早くできた人の顕微鏡を覗いたりして見事な協働作業がいつの間にか成立しておりました。そしてきれいなタマネギの核が見えると「キレー」とか「オー」とかいうまさに感動の声があちこちから上がり、これぞ本物に触れたときの喚声と意を強くしました。

 続いて、各自、頬の内側を綿棒で軽くこすり、それについたものをスライドガラスにこすりつけ、再び酢酸カーミンを1滴垂らし、暫く置いてからカバーガラスを掛け、顕微鏡で観察しましたが、こちらはタマネギのようにはことが上手く進まず、なかなかきれいな細胞とはならず、相当苦労している人がいる中で、恐らく器用で実験上手な生徒でしょうか、タマネギとは異なるヒトの細胞核がきれいに見えた人の顕微鏡には何人となく覗きにきておりました。私も一緒に覗いてみましたが、実に美しく感動的な核がハッキリ見えました。誇らしげな生徒の笑顔とそれを覗いては「キレイ」と声を上げる生徒を見ながら、ここにこそ「笑顔と感動の学校生活」があることを実感させられました。

 実験終了後は、各自それぞれのスケッチを完成させ、観察のポイント(①~⑤)をまとめ、最後にこの実験で「気がついたこと・感想」をまとめ上げて2時間の授業が終了致しました。本校の教育方針として、3つの柱を掲げておりますが、この実験授業では、見事に「少人数できめの細かい指導」「本物から本質に迫る教育」そして「主体性と協働性の育成」を視野に取り組んでいることをつぶさに見ることが出来ました。日々地道な実践の中で、先生方が常にこの3つの柱を意識しながら種々の教育活動を展開されていることに胸撫で下ろした次第です。

 

まずは実験手順の説明 (1)

まずは実験手順の説明 (1)

まずは実験手順の説明 (2)

まずは実験手順の説明 (2)

中3ニュージーランド修学旅行中の授業参観 (2018.2.27)

「光陰矢の如し」の言葉通り、平成29年度もあと1ヶ月を残すのみとなり、本校では今週末3月2日(金)から期末考査が始まります。ニュージーランドへの15日間の修学旅行中の中学3年生と、漸く国公立大学の前期試験まで終了した高校3年生以外の中1、2、高1、2年生の4学年が最後の試験に臨むこととなりますので、この授業参観記も今年度は今回で最後と致します。ただ、各教科とも試験に向けての最後の追い込み期間でもあり、どうしても座学中心の授業が多くなっておりますことから、どの授業参観記にしようかと思案の矢先、本日早朝、今まさにニュージーランド修学旅行中の中学3年生とスカイプによる交信が行われ、その中で、現地Tauranga Girls Collegeにお邪魔している女子生徒(19名)が、同校の英語の先生から、ESOL(English for Speakers of Other Languages)(多言語を話す人のための英語)の授業を受ける光景が飛び込んできましたので、その模様を紹介させて頂く事と致しました。ご存じかも知れませんが、ニュージーランドの高校では、留学生を対象にした英語の授業ESOLが行われており、およそ毎日1時間程度は英語力に応じてEOSLの授業を受けられる(元々の授業料の中に含まれる)ことになっており、先月27日に出発し、4月7日(土)の帰国まで、このTauranga Girls Collegeに、ターム留学でお世話になっている二人の高校生もこの授業を受けております。二人の先輩達に囲まれて、19名の中学3年生の明るく楽しく学んでいる光景が見て取れて、感慨も一入でした。

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 本校では、中学1期生で、1991(平成3)年度入学生の3年時、平成5年度(実際には1994年)の3月に第1回ニュージーランド修学旅行を実施して以来、25年間継続して実施しており、一昨年の12月には、ニュージーランド大使館並びにニュージーランド航空から感謝状並びに記念の楯を頂戴しておりますが、昨今の国際化、グローバル社会の到来もさることながら、混沌とした世界状況に鑑みても、あの時代にニュージーランドに限定してこのような企画を志した先人諸氏の慧眼、先見の明には感謝の念禁じ得ません。あれから25年経って、現地の学校に今まさにお邪魔している本校生徒と、来年修学旅行で訪問する中学2年生代表との間で、質問のやりとりはもとより、現地で実際に行われている授業風景を同時中継で視聴出来るとは、スカイプという文明の利器に、私などICTに疎い人間にはただただ驚嘆の念禁じ得ませんでした。

 ESOL担当の先生の笑顔に満ちた巧みな話術もあり、教室内は笑顔に満ち溢れ、巧まずして英語力が身についていくように感じられました。教室と言っても、もとより日本風の前並び一線ではなく、お互いの顔が見られるような並びとなっており、お互いに表情を見たり目を合わせたり、時にアイコンタクトも取りながら、時には身振り手振りのジェスチャーも交えながら何とか意思疎通を図ろうとしている姿が垣間見られ、ついこの間日本を旅だった時の印象とは異なり、ずいぶん大人びた顔立ち、表情となっており、若者とはこのようにして日々成長していくものであることを実感させられました。

 出入り15日間という短期間の海外体験ではありますが、ニュージーランドの教育関係者のご尽力、一人一家庭にお世話になっているホストファミリーの皆様方の温かくも親切なご対応、そして裏方として常に安全・安心な環境を整えて下さっている国内外のエージェントの皆様により、一回りも二回りも成長して3月7日(水)無事帰国することを祈っている次第です。

 さて、前述のように、今回を以て、この「授業参観記」も一旦終了とさせて頂きます。去る2月14日(水)、文部科学省から高等学校の新学習指導要領改訂案も公表されましたが、その内容を俯瞰するに、2020年度から実施される予定になっている「大学入学共通テスト」も視野に入れながら、思考力・表現力の育成をより一層重視したものとなっております。高校の学びの質的転換も余儀なくされるとも言われておりますが、本校では中学の入学試験の改変も含め、徐々にではありますが、新教育課程に対応すべき授業改革も積極的に取り組んできております。周囲の騒音に惑わされることなく、しっかりとした基礎・基本となる知識・技能を習得させ、それを基にして思考力・判断力・表現力を育成し、主体性・多様性・協働性にも配慮しながら、主体的・対話的にして深い学びに結びつけるような授業を今後とも継続していきたいと思いますので、来年度もまた折ある毎に、そのような授業風景を紹介させて頂ければと考えております。毎回のことではありますが、本校の教育活動の最も重要な要素である授業風景を紹介すべく、校長としての意気込みのみ強くなり、「心余りて言葉足らず」の言葉通り、思いを十分お伝えできないままの文章となったように思います。最後までお読み頂いた事に感謝申し上げ擱筆させて頂きます。

テレビ電話でNZと話そう! 

テレビ電話でNZと話そう!

先輩に質問!

先輩に質問!

中学1年「英語」ALT担当授業参観(2018.2.15)

昨日(2/14)までの冬の寒さもずいぶん和らぎ、ここ聖ヶ丘界隈も何となく春の息吹が感じられる陽気となりました。裏山にある春日神社の境内ではそろそろ春の草花も芽吹いてくる頃、何となく心も弾む季節の到来間近かと思われます。昨日に引き続き、本日は中学1年生の英語の授業、それもALTによるほぼ英語だけで展開する授業を参観致しましたので、以下にご紹介致します。

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 本校の中学1年生の英語の授業は、週に6時間授業となっておりますが、その内の2時間分は、1クラスを半分に分け、ほぼ15名ずつで、ALTと専任教諭とのTTによる英会話中心の授業と、その裏で専任教諭による英文法や文型、英単語等所謂英語力をつける授業を実施しております。今年度は、非常勤のALTが一人のみで、時間数に制限があることから、1クラス2展開の授業は中学1年生のみとなっておりますが、来年度から、ジョーダン氏を専任化すると共に、更に一人新規のALTを増員することとなりましたので、これを一気に中2中3高1まで含めて実施することと致しました。これによって、今まで以上に英語の4技能「読むこと・書くこと・聞くこと・話すこと」の力をつけていくことが可能となると確信しております。

 さて、本時の授業内容ですが、冒頭の挨拶から全て英語で始まり、生徒も英語で返すという展開、ジョーダン氏からの本時の目的を紹介した後、昨夏全教室に導入したプロジェクターを活用して、「ALF『アルフから愛を込めて』」というビデオをまず視聴、正味30分くらいの内容を15名の生徒が机を寄せ合って静かに、と言っても、ALF自体大変愉快なコメディーですので、時折笑い声も出て楽しそうに視ておりました。ビデオ自体は完全なる英語版ではなく、日本語の字幕が付いておりますので、極めて分かり易く興味深いものでした。私自身、初めて視るものでしたので大いに楽しませてもらいました。

 ほぼ全体を視聴した後、「ALF」に登場するCharactersをまず確認、主人公のALF、父親のWilly、母親のKate、姉のLynne、弟のBrianを板書したうえで、生徒一人ひとりが以下の構文(理由説明文)に則って感想を述べ合いました。

 「I liked(好きなcharacterを入れる) , because he(or  she) is(それぞれ感じた理由を英語で述べる)」

 「I liked it, because (ビデオ全体で面白かった理由を英語で述べる )」

 「I didn’t like it, because (ビデオ自体余り興味が湧かなかった理由を英語で述べる)」

短文穴埋め形式で、しかもそこに入る英単語の多くは、interested やcrazyなど分かり易い単語ばかりであったことと共に、15名という少人数でもあり、全員にくまなく発言の機会が回り、それぞれテンポ良く答えていたのは印象的でした。字幕付きビデオとはいえ、英語の聞き取りとその内容の面白さには十分に理解が行き届き、それぞれに理由を考えることで思考力を養い、積極的に英語で答えることにより表現力の育成に繋がると共に、英語への興味・関心を益々高め、4技能のうちの聞く力、話す力の育成はもとより、主体的・対話的・深い学びに繋がる第一歩かと思いながら教室をあとにした次第です。

写真1 しっかり意見表明

写真1 しっかり意見表明

写真2 映像から学ぶ楽しい英語

写真2 映像から学ぶ楽しい英語

高校1年「保健」授業でのAEDの実践講習 (2018.2.14)

 2月1日(木)から5日(月)まで断続的に実施した中学入試、2月12日(月)実施の高校入試も無事終了、合格されたお子様方の入学手続きもほぼ終了し、学園は再び静かな学習環境を取り戻しつつある中、今月21日(水)からニュージーランドへの修学旅行に出発する中学3年生は、今日と明日の2日間、中学生活の締め括りとしての期末考査を実施しております。中学1、2年生も本日は学習推移調査を実施、確かな学力の定着度合いが試されております。そんな中、年末年始、入試業務等と何かと慌ただしい中、暫く見送っておりましたが、本日5時間目に高校1年生の「保健」の授業を参観致しましたので、以下にご紹介致します。

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 高校1年生の「保健」は、週に2時間が必修となっており、保健体育科の教員が2人で分担して担当しております。綿密な連携の下、1学期は主として「現代社会と健康」、2学期は「生涯に通じる健康」、3学期には「社会生活と健康」という大括りの単元設定で、健康で文化的な社会生活を送るには、個人としてどのようにしたらよいか、また社会的にどのような福祉制度があるのかなど、様々なテーマに則しての学習をしておりますが、本時では、「応急手当の意義とその基本」という小単元で、実際に学校に備え付けられている心臓救命装置である「AED」(Automated external defibrillatorで、自動体外式除細動器と訳される)を利用した救急救命手当の実践を致しました。

 39名のクラス人数を、実践の内容上、男女別々の5班に編成し、1班が7~8人構成、それぞれの班単位で、①傷病者(倒れる人) ②発見者(第1発見者という想定) ③協力者(119番通報する人)④AEDを取りに行く人(通常、校内には、職員室、事務室、体育館の3箇所にあるが、今回は特別に保健室に行く)⑤職員室内の先生を呼びに行く人 ⑥記録係 というような役割分担をして、全班で実施致しました。始めに、本村教諭のお手本を見て、胸骨圧迫の練習を何回か繰り返し、1分間に100~150回、両手を重ねて肘を伸ばして、心臓に見立てた器具を押す練習に慣れたところで、実践スタート、第1発見者は、まず安全の確認をした上で、傷病者の反応の確認、呼吸の確認等を手早く済ませ、各役割の人に指示を素早く出し、指示された人はそれぞれの役割に則って、機敏に反応しておりましたが、実施教室が校舎5階という、職員室や保健室から一番遠い位置にあることから、戻るまでの時間がやや待ち遠しい感じが致しました。

 AEDが到着するや、電極パッドを心臓に貼り付け、電源を入れた後はAEDから発せられる音声ガイダンスに沿って、胸骨圧迫を止めて、AEDによる心臓のリズムの自動解析に応じての電気ショックによって、心室細動の再起動を待つという様な手順で行っておりました。役割決めの段階から、班員相互にスムースに各役割を決めて、それぞれの任務を忠実にこなしておりましたが、1班終了の度に、じっと観察していた本村教諭から、良い点や改善すべき点についての細かな振り返りのコメントが入り、それをまた熱心に聞き入っていた姿を見るにつけ、各教科でのアクティブ・ラーニング型授業も定着していることが垣間見られました。各自主体的に行動しながらも、多様な仲間達と協働して課題解決(ここではもちろん人命救助という大命題ですが)に結びつけるという行動が実にてきぱきと出来ておりました。私どもも、自治会の避難訓練等でAED操作の体験をしたことがありますが、より若いうちにこのような体験をすることで、いつ何時起こるか分からない天災、人災等への対応として、慌てず騒がず冷静に対応できるのではないかと思うにつけ、大変有意義な体験授業であったと思います。

 胸骨圧迫で心臓マッサージ 1,2,… 

写真1 胸骨圧迫で心臓マッサージ 1,2,…

写真2 模擬AEDを使って操作開始

写真2 模擬AEDを使って操作開始

 

高校3年理系必修選択「生物」最終授業も実験で締めくくる (2017.11.30)

 11月も今日で終わり、本校のすぐ下に位置する都立桜ヶ丘公園の紅葉、取り分けイロハモミジの紅葉は実に鮮やか、初冬の朝日に照らされ美しく輝いておりますが、それもつかの間、やがて枯れ木の冬景色となるのも間もないことかと名残惜しく思っております。明後日(12/2)からの期末考査を目前にして、各学年、教科とも今学期の集大成として1時間1時間気合いの入った授業が展開されておりますが、本日は高3生の実質的に最後の授業にもかかわらず、実験をやるという有岡教頭の意気込みに引かれて、理系生徒の必修選択科目となっている「生物」の授業を参観致しましたので、以下にご紹介致します。

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 高校3年生の理科は、物理・化学・生物の3科目からの選択で、文系で国公立を志望する生徒は、「生物基礎・地学基礎」、「生物基礎・化学基礎」のいずれかを各2単位自由選択とし、理系の生徒は、それぞれ専攻分野によって、必修或いは自由選択として、「物理」(4単位)「物理特論」(2単位)「化学」(4単位)「化学特論」(2単位)「生物」(4単位)「生物特論」(2単位)の6科目の中から選択しております。「生物」については、受験科目として使う生徒の中には、必修・自由両方選択している生徒が多く、授業に対する姿勢も極めて積極的かつ真面目で、本時の場合も各班4名(1班のみ欠席者もいて2名)ずつで基本男女半々の構成でしたが、さすがに今までの蓄積もあり、先生の指示によりてきぱきと実験をこなしていたのが印象的でした。

 本時の実験は、「葉緑体の単離と光合成電子伝達反応」という難しい単元で、有岡教頭によると、首都大学の松浦先生からの直伝で、高校生にはかなりハイレベルの実験(この辺で生徒の知的好奇心をくすぐっておりました)ということでしたが、2時間連続、休みなしの実験を、班員それぞれ協働してしっかりやり遂げておりました。実験の目的としては「ホウレンソウの葉から葉緑体を抽出し、光合成における電子伝達反応をDCIP(2,6-ジクロロフェノールインドフェノール)を用いて測定する。」というもので、昨夜遅く近隣のスーパーで、新鮮なホウレンソウを購入してきた話から始まり、生徒を如何にこの実験に興味・関心を持たせつつ意欲的に取り組むかの動機付けということか、昨日のうちにこの実験のために事前の準備、取り分け調整液を作るために様々な溶液を準備してきたにもかかわらず、実験直前に肝心のビーカーにヒビが入り、慌てて調整液を作り直したという自らの失敗談でひとしきり笑わせた後、葉緑体の単離に向けて実験が始まりました。作業工程は①から⑫まであり、かなり複雑なものですので、ここではとても紹介しきれませんが、その過程においては、各班単位であらかじめ役割分担を決めてということではなく、相互に話し合いをしながら手順に則りしっかり進めて行きました。見ていて面白かったのは、マイクロチューブに入れた葉緑体入りの溶液を遠心分離器にかけて、上澄みと葉緑体とを分離させる工程で、上澄みを棄てながら繰り返すことで、ミトコンドリアなどの混ざりけのない葉緑体が分離されるということでした。理想的には葉緑体だけが残っていると良いのだが、という補足説明が入り、全班のマイクロチューブを3本に集約し、最終的な単離作業として15秒遠心分離器にかけて更に上澄みを棄てた後、各班4本のマイクロチューブに分け、A,B,C,Dそれぞれのチューブに各種溶液等を入れ、かなり強度の蛍光灯の光を当てて、チューブ内の溶液の色の変化を観察致しました。ポイントは、DCIPの藍色が時間の経過と共に、どのように変化していくかに注目することとなりますが、1本だけアルミホイルにくるんだチューブのみ、色に変化が現れないのはなぜか、ということから、光合成、つまり光がないと電子伝達系が働いていないということに気付かせます。最後に、単離した葉緑体一滴をスライドガラスに取り、カバーガラスをして顕微鏡で観察しておりましたが、美しい緑模様に思わず「おおー」という喚声が上がっていたのは印象的でした。常日頃から「本物に触れて本質に迫る教育」を標榜していることから、高校3年生の最終授業に至るまで、実験を通じて本物に触れさせる、そのことによって多様な仲間達と感動を共有させることに徹した授業と見受けました。

 もちろん、実験終了後には、その結果の振り返りを各自プリントに埋めていく作業が仕組まれており、観察結果をまとめると共に、結果の考察もグループ内で相談しながら、各自で記載していくことで、主体的、協働的(対話的)にして深い学びに繋がっていく様子が垣間見られました。感想までほぼ書き上がったところで、有岡先生の実質最後の授業ということもあり、現役で各自志望している大学への合格を期待しているとして、現役の場合、これから入試本番までの期間が一番伸びる時期であると、数十年前の自らの体験を踏まえながらしみじみ語ってくれました。最後の授業という意識は生徒間にも十分に伝わり、先ほどまでの実験作業でのガヤガヤ感もどこへやら、みんな神妙に聴き入っておりました。現役は最後の最後まで諦めることなく自分を信じてひたすら頑張れ、と言ったところでチャイム、最後の挨拶の号令をかける生徒からは万感の思いを込めて、「いつまでも名残惜しいですが、2学期間有難うございました」という一声こそ、教師冥利に尽きる瞬間であったと思うにつけ、教壇に立つことなく久しく時間が経ってしまった者にとっては羨ましいの一言に尽きました。

 

興味と関心を引き出す

興味と関心を引き出す

探究こそが授業の本

探究こそが授業の本

 

中学1年「社会」日本史、巧まざるアクティブ・ラーニング (2017.11.25)

 11月もあと5日となり、本校では期末考査も目前、今日から定期考査前1週間ということで、放課後の部活動も一部試合前等の理由で特別活動する部もありますが、全体的には一旦停止、各学年とも一斉に試験態勢に突入致します。今週は21日(火)に二コマ参観しその記録を掲載致しましたが、今日は、11月11日(土)の中学1年の社会科地理的分野に続いて、同じく社会科の歴史的分野(日本史)の授業を参観しましたのでご紹介致します。これで中学1年生の主要教科については、理科第1分野(物理・化学)(非常勤講師の先生担当)を除き、専任教員による授業参観は全て終了となります。

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 前回もご案内の通り、本校の中学社会科は、週4時間ありますが、それを地理的分野と歴史的分野とに分け、それぞれ2時間ずつ、それぞれの分野の専門教員が担当しております。本時は、日本史専門の藤永教諭による、単元としては「武家政権の成立と執権政治」と題する授業で、本時の前半は、主として鎌倉時代初期1221年に起こった「承久の乱」について、後鳥羽上皇側についた朝廷軍と、鎌倉幕府側の武士団との戦力の比較並びに、武士の士気を高からしめて有名な北条政子の演説を資料で確認させながら、圧倒的な戦力を持って幕府軍が勝利した理由を考えさせたうえで、乱平定後の処置・措置などに言及し、執権政治の基盤が盤石なものとなる経緯についてまとめていきました。その過程では、先生の次々に繰り出される発問に対して、特に誰か指名されて応えるのではなく、何人かの男女生徒が我先にと発言し、テンポ良く展開しておりました。発言の中には問いに対して極めて頓珍漢な的外れなものもありますが、それを先生の方で上手く交わしながら、最終的にはより適切な答えを導き出していくという手法は、見ている者も小気味よく、一緒にその流れの中にいつの間にか吸い込まれていくような感覚にさえ襲われました。具体的には、後鳥羽上皇が島流しになったのは隠岐の島、順徳上皇は佐渡島と続いたところで、夏休み中にサマーセミナーで訪れた生徒もいる佐渡島の話に結びつけ、体験学習と上手くリンクさせることによって、記憶を遡っている生徒も見受けられました。戦後措置の一つとして、京都の朝廷を見張る役所としての六波羅探題を予め配付して置いたプリント(既に前時までに、侍所、政所、問注所など埋められている)に各自埋め込ませ、さりげなく幕府の機構についての知識も深めさせるという工夫が凝らされていました。また、幕府側の武士達への論功行賞として、上皇側から没収した荘園を分け与える事にも言及し、徐々に封建制度への意識高揚にも配慮されておりました。

 授業後半は「武士と民衆の生活」というプリントを配付、単に知識の確認のためだけの穴埋めプリントではなく、歴史的事実を確認しつつ、その因果関係等を考えさせながら必要事項を埋めていく内容で、各自主体的な作業の中に、前後左右の人と相談しながらつまり協働で埋めていくことも可とすることとし、自ずからアクティブ・ラーニング型授業となっておりました。形態を整えてのグループ学習もさることながら、平常の机の並びの状態でも十分にアクティブな活動を可能にすることが垣間見られましたが、中学1年という年代ならではの、まだどんどん自分から発言するという特性を上手く活用しながら、まさに教師と生徒の掛け合いを中心としたアクティブ・ラーニングの典型的なスタイルと受け止めました。要は30人それぞれがいかに主体的・能動的に課題を発見し、その答えを見出すべく相互に協働し合いながら、脳を活発に動かしているか、授業に集中的に取り組んでいるかが問題であろうかと思います。プリントの穴埋めがある程度終わったところで、まず武士の生活を住居の面から確認し、図面を見ながら、その特色を言わせつつ、さりげなく環濠集落という言葉や、犬追物、笠懸、流鏑馬などという中1にしてはまだ難解な用語を紹介し、歴史への知的好奇心をくすぐりながら、歴史に興味・関心を抱かせる工夫が凝らされておりました。先日(11/14付朝日)の新聞で、「教科書から消える? 脱暗記へ 入試用語半減提言」という見出しで、高校と大学教員らで作る「高大連携歴史教育研究会」による歴史用語の精選案が発表されておりましたが、中学段階からさりげなく難しい歴史用語も取り入れながら、知的好奇心を刺激することで抵抗なく難解な歴史用語にも馴染んでいくように思われました。高校の授業が暗記中心になっているからとか、知識を入試で問うのはいかがなものかなどと言って、歴史用語を半減するというのは余りに短絡的すぎないかと思います。近い将来いわゆる「大学入学共通テスト」の社会科の入試でも、暗記よりも思考力や表現力を重視するという傾向が強くなるようですが、平常の授業の中で、余り意識させることなく歴史用語に触れさせておくことは、若くて柔軟な頭脳の持ち主である中学生には必要不可欠なことと考えます。その他印象に残ったこととしては、武士の家のきまりとして、家のリーダー、つまり家督が亡くなった後の財産相続では、兄弟間の男女差別なく平等に分配するという話で、多くの生徒は男性有利と考えてしまっていたが、なぜ女性も同等であったかの問いで、女性は子孫を残せるから、という先生の答えで「あーそうか」という喚声が上がったところに、通常授業の中でのある種の感動的場面であったと思います。問いと答えの掛け合いの中で、核心に触れる問いかけで感動を共有できることこそ、みなが授業に集中している証しであると実感致しました。

新たな「気づき」が生まれる授業

新たな「気づき」が生まれる授業

史料や絵図から考える授業

史料や絵図から考える授業

 

中学1年「理科」、高校2年「国語表現」、本物に触れ本質に迫る教育 (2017.11.21)

 11月のこの時期にしては36年ぶりの寒波襲来とかで、昨日から猛烈な寒さが続いておりますが、本日、本校では午前中、25大学の入試担当の方々にお出で頂き、高2、3年生対象の入試出願相談会を実施致しました。高3生にとっては、まさに臨戦態勢、出願に際しての最終的な意思決定の機会、高2生には、いよいよ来年に迫った大学入試に向けての各教科の選択科目決定の参考にする機会と位置づけ、毎年この時期に設定しております。25大学の入試担当の皆様には、一般推薦、AO入試、さらには指定校推薦入試と各種推薦入試の実施時期で、お忙しさの真っ最中にも拘わらず、本校の「少人数できめの細かい指導」の一環としての進路行事にご協力頂き感謝申し上げております。

 今週は、期末考査(12/2~6)を間近に控え、各教科学期末の追い込みに入っている時期でもありますが、本日は最初に中学1年生の理科(生物)の授業、次に高校2年生の国語表現の二コマを参観致しましたので、以下にご紹介申し上げます。

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  本校の中学理科は、週4時間ありますが、それを第1分野(物理・化学)と第2分野(生物・地学)とに分け、それぞれ2時間ずつ、それぞれの分野の専門教員が担当しております。本時は、生物専門の有江教諭による「シダ植物とコケ植物」と題する授業で、その目的は「花の咲かない植物であるシダ植物とコケ植物を観察し、からだの作りを理解する」というもので、本校理科の特色でもある「本物から本質に迫る教育」の一端を垣間見ることが出来ました。有江教諭は、今春大学を卒業し、本校に赴任したピカピカの1年生教員ですが、その若さとパワーには定評があり、まだまだ無邪気さの抜けきらない中学1年の生徒を相手に、びしばしと指示を出し、緩急自在の授業展開の中で、聞くべき所はしっかり聞かせ、話し合いの場面では思う存分生徒に喋らせ、集中力が続かないような生徒には折々に発散させる時間帯も設け、最終的には本時の目的をしっかり把握させる工夫に富んだ授業と見受けました。

 本日は、まず、シダとコケの本物を見せ、それを各自スケッチするところから授業が始まりました。生物実験室での授業は、4~5人のグループ編成となっており、各班単位で、思い思いにスケッチさせながら、机間巡視を繰り返し、さりげなくその相違点に注目させ、話は徐々に植物の進化の過程に進んでおりました。本校の理科の授業では、中学3年間で100を越える実験・実習を実施することから、各学年2時間続きとなっており、実験・実習の後には必ず振り返りを含めたまとめの時間が入りますので、生徒が実験・実習に取り組んでいるところで、先生は次の仕掛けを考えて話を進めていきます。それぞれのスケッチが終わったところで、本物を見ながら各自描いたスケッチを参考に、両者の相違を説明して、シダ・コケ植物の本質を探究させておりました。ここで要領よくまとめられた課題プリントを配付し、1時間目の整理をさせつつ、2時間目にはより具体的に、「根・茎・葉の区別があるか?」「維管束の有無」「水分の吸収方法」などの相違に注目させながら、いつの間にか植物の進化の過程に話が及び、藻類、シダ類、コケ類のみならず、既習事項でもある裸子植物、被子植物にもう一度光を当てて、植物全体の進化の過程とその特色をしっかり確認させるという授業の流れでした。藻類からコケ類への最大の変化は陸に上がったこと、シダ類から裸子植物への変化では、植物界の大革命が起こった、つまり「種子」が出来、シダ類までの胞子で増えていた時代とは違って、種子で大量に増えることが出来たというあたりで、生徒から「おおー」というような喚声が上がり、笑顔と感動を共有しておりました。

 授業形態としては、教室の特性からグループ編成で展開しておりますが、プリントによる課題が与えられてから、まず一人ひとりが自主的・主体的に課題に取り組む時間を取り、その後、各グループ内、多様な仲間達と教え合ったり学び合ったりの話し合いを経て、最終的には協働して課題解決に結びつける事により、主体性・多様性・協働性の涵養に繋げ得ていたのではないかと思いました。その間に、確かな知識・技能を教え込む時間帯もあり、ともすればまだまだ落ち着きのない子供達の興味・関心を喚起しながら、学習に集中して取り組む時間と、班員とおしゃべりしてでも授業に飽きさせないような工夫も見られ、結果として、動物の進化とも比較しながら植物の進化という大命題に切り込んでいこうとする意欲的な授業で、久しぶりに私自身、知的好奇心を搔き立てられ、枯渇した感性も、コケ植物がからだ全体で水分を吸い上げるように、多少瑞々しさを取り戻せたような気が致しました。

各自でシダ,コケの観察

各自でシダ,コケの観察

「まとめ」は難しい?

「まとめ」は難しい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今日の2コマ目、6時間目に高校2年生の国語科選択科目「国語表現」の授業を参観致しました。実施科目等は以下の通りです。

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  佐野彩雪教諭も今春赴任してきたばかりの女性教員ですが、本校の卒業生でもあり、若さの割には落ち着いた物言いで、じっくりしっかり確かな学力と豊かな人間性を身に付けさせるべく日々健闘してもらっております。本日は、東京自由が丘にある「自由が丘デパート」のご協力を得て、当該デパートの入り口パネル及び館内ポスターの企画・提案・作成を通じて、確かで豊かな国語力を身に付けさせたいという試みの授業実践でした。学校外の団体との綿密な打合せをもとに、グループで話し合い、街のニーズに応じた企画を立て、更に発信する表現力を養う、というのがこの授業の目的ですが、全体で9時間の構成となっており、事前に2時間、身の回りの商業施設の広告調査及び自由が丘デパートについて質問リストを作成した上で、去る11月7日(火)、実際に現地に出向き、デパートの事務局からデパートの概要と企画内容についての説明を受けると共に、企画箇所の確認と館内見学をすることで、各自如何にお客さんに訴える力を持つポスターを作るかのイメージを膨らませて来ました。その後の3時間、自由が丘デパートを言葉で表現する作業、具体的には、各自のイメージの集約とテーマ決め、テーマに沿う言葉集め、そしてテーマ毎のチーム分け・話し合いを経て本時に至りました。本時は、まず各班単位で、現段階で目指しているポスターのイメージについて確認した後、事務局側にテレビ電話を活用して発表、事務局の小林様に聞いて頂き、質疑応答を経ていよいよ今後の企画の方向性を確定するという内容でした。スカイプといういわばICT活用授業のほんの一端を垣間見させて頂きましたが、班代表として発表する生徒には緊張感もあり、当初声が小さくて小林様にはよく聞き取れなかったようですが、徐々に順調なやりとりが出来ホッと致しました。今後、期末考査直前までの2時間で、今日の結果を踏まえ、再度班単位で話し合い、イメージを決定し、それを具体的に文字として落とし込んでいく、つまり文章化して、それを美術部或いは漫画イラスト研究部員に依頼して、原画を作成してもらう、という段取りとなります。デパートの方ではそれをプロの印刷屋さんに出して、最終的な仕上げをして頂くことになっております。この方面には全く素人の生徒達を全面的に信頼して頂き、このような貴重な機会を与えて頂いた事に感謝申し上げております。

 さて、この一連の授業でどのような国語力がつけられるのか、ということですが、自由が丘という街のステータスを肌で感じることで、そこに住む、或いは通勤している人々の感性、意識などを想像する力を養い、どのようなポスターにしたら、人々に興味・関心を抱いて頂けるのか、気の利いたキャッチフレーズを考えることでの思考力の育成、一人ひとりの考えを互いに披瀝し合うことによって、多様なものの見方・考え方・感じ方をする友人間で協働する力を身に付けつつ、最終的には、生活に根ざした確かで豊かな表現力を育成し、それを自己満足に終わらせることなく、他に評価してもらうことによっての成就感・達成感にまで至らせる事が可能となるのではないでしょうか。「国語表現」として身に付ける知的な言語能力もさることながら、美術部・漫画イラスト研究部員の力を借りる事によって、知的のみならず美的訴求力も加わり、自由が丘デパートに足を運ぶお客さんの知的好奇心をくすぐりながら、商品の購買意欲を喚起する結果となる事を祈るばかりです。

スカイプを使って外と繋がる授業

スカイプを使って外と繋がる授業

さあ!インタビュー開始!

さあ!インタビュー開始!

中学1年生「社会」地理的思考力の育成を目指して (2017.11.11)

 昨夜未明から南風が吹き付け、この界隈でよく見かけるモミジバフウの真っ赤に色づいた紅葉も虚しく散り急ぐ様が、何となく晩秋の哀愁を感じさせております。日中は暖かくなり、子供達が活き活きと活動するには絶好の陽気となった中、本日は保護者の皆様の授業参観の最終日、土曜日でもあり、大勢の皆様にお出かけ頂きましたが、私も一緒に、本日は中学1年生の社会(地理)の授業を参観しましたので以下にご紹介致します。

 

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 本校の中学社会は、週4時間ありますが、それを歴史的分野(主として日本史)と地理的分野とに分け、それぞれ2時間ずつ、それぞれの分野の専門教員が担当しております。本時は、地理専門の石飛教頭による「アメリカの工業化~世界一の経済大国:USAはいかに生まれたか~」と題する授業で、形態こそ教室の並び通りの一斉授業でしたが、その展開はほとんど生徒との掛け合い、やりとりの連続というもので、先生の問い掛けに対して、生徒は逐一反応するという流れで、テンポ良く進められました。

 生徒は、予め用意された先生手書きのプリントを参考にしながら、発問に答えていく展開ですが、その基底にあるものは、アメリカの綿工業の発展をアメリカ大陸の地形の特色を常に視野に入れさせながら考えさせるという手法に徹し、地理的思考力を養うことへの視点を見失うことのないような発問に終始していたことが本授業の最大の特徴と見受けました。具体的には、アメリカ大陸の東西に連なるロッキー山脈(新期造山帯)とアパラチア山脈(古期造山帯)との相違に気付かせ、綿工業に必要な原料の調達、動力源(水車によるエネルギー)を得るためには、どちらの山脈が適切であったのか、教科書はもとより資料集、地図帳そして手書きのプリントなどを駆使しながらじっくり考えさせるところが本授業の眼目であったかと思います。発問の中には既習事項も多く含まれてはいるものの、忘却の彼方に行ってしまっている生徒もおりましたが、そこはすぐに答えを言わないで、丁寧に訂正しながら粘り強く考えさせることに終始していたのは、中学1年生という発達途上にある子供達には必要不可欠なことと、私など短気な人間には大いに参考になりました。

 アメリカで綿工業が発達したのは、1870年代、つまり19世紀中頃というところから、日本の明治維新(1868年)、その前の黒船の来航(1853年)などに話を持って行き、黒船がなぜ日本に来たのかに思いを馳せさせ、地理と歴史との融合を意識化させながら、トランプ大統領の登場で一躍世界的問題ともなっている保護貿易(共和党)と自由貿易(民主党)の話題に発展させ、アメリカの綿工業の発展当初から貿易を巡る論争が続いているという経済問題まで考えさせるという仕掛けとなっていました。その後、産業構造や奴隷制度に対する認識の相違もあり、南北戦争に突き進むアメリカの歴史にまで話が及び、リンカーンの名前が出たところで、子供達が知っているアメリカ大統領の名前の数々を披露させながら、20世紀前半、いわゆる戦争の歴史を迎えることで、アメリカの近代工業が飛躍的に発展したことにまで授業が深化して行きました。「アメリカの工業化の歴史」について、地理的視点、つまり、アメリカの地形の特色からのアプローチを基点にしつつ、世界的視野に立っての歴史はもとより、都市の発達過程、そこから派生する政治、経済分野にまで考えを飛躍させながら、ともかく考えさせる、そしてそれをプリントの必要箇所に落とし込んでいく作業を通じて、巧まずして思考力、判断力、表現力を育成していく過程が見て取れました。いわゆるアクティブ・ラーニング型授業は、例えばグループ学習として、4~5人のグループを編成し、グループ内の話し合い方式によって展開する形態が多く見られますが、このような一斉授業の中でも、個々人にいかに活発に考えさせ、発言させるか(中1段階では個々に指名しなくても発言する生徒が現れる)によって、主体的、対話的(この場合には生徒相互ではなく先生と生徒との)な深い学びに繋がっていくことを実感させられる授業でした。

図解思考の手ほどき

図解思考の手ほどき

「これまでの学習から考えてみよう!」

「これまでの学習から考えてみよう!」

中学1年生「国語」導入期の古典学習はどうあるべきか? (2017.11.7)

 今日は、24節気で言うところの立冬でしたが、日中はここ聖ヶ丘界隈でも20℃を越えるポカポカ陽気となり、一頃の寒さもどこへやら、まさに小春日和の好天気に誘われて、校舎3階の1年2組の教室で展開された国語の授業を参観致しました。窓から見下ろす多摩市中、住宅街に点在する木々が真っ赤に色づき目に眩しいくらいでしたが、教室内は中学1年生の熱気に溢れ、新しい教材に挑戦しようとする彼らの目はキラキラと輝いておりました。その熱気醒めやらぬうちにと、早速授業参観記にまとめて見ましたので以下にご紹介致します

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 本時の教材は『竹取物語』で、中学入学後初めて本格的な古文に触れるものですので、いわば古典学習導入期の授業のあり方に一石を投じてくれたものと、昔取った杵柄よろしく、自らの古典学習の有り様を振り返りながら半ば懐かしく参観致しました。

 授業の流れとしては、まず最初に10問からなる漢字テストを実施、出岡先生の授業スタイルの特徴として、短時間でテンポ良く進めるということが習慣化していて、この小テストも5分間で終了、時間切れとともに後ろから回収、後ほど採点し、不合格者にはやり直しの漢字練習をして提出させることで、漢字力の定着を測っております。

 次に、前時に学習した『竹取物語』の冒頭の暗誦を全員で声高らかに朗唱、先生が「そ」と言えば「その竹の中に」と唱え、「も」と言えば「もと光る竹なむありける」「あ」と言えば「怪しがりて寄りて見るに」とリズミカルにどんどん繋いでいく展開は、耳に優しく仏教の声明(しょうみょう)を聞いているような錯覚に陥りました。多くの男子がまだ声変わりしていないこともあり、爽やかな声色が響きわたっておりました。そして、本時の場面(帝がかぐや姫のもとを訪ねながらも、姫の拒絶に遭い、虚しく引き返す場面)に入りますが、まず各自で既に書写し終わっている古文の原文に、現代語訳を付ける個人作業を5分間、ひたすらノートに訳を書き続ける人もいれば、ほとんど手つかずの人もいて、予習状況が垣間見られる場面でした。終了後、2分間だけ、教室内立ち歩き自由で、互いに教え合う時間が挿入され、実に活発に動き回り、自分で埋めきれなかった部分を友達に聞いて回る学習には微笑ましいものを感じました。この途中で先生からの適切な指示が入り、自分で分からなかったところには線を引くとか、赤鉛筆で記入するとか、ポイントとなる部分をしっかり確認させる作業にも目配りをしておりました。そして、本時のクライマックス、中学1年生は30人の少人数クラスとなっておりますが、それを4人の班(5班)と5人の班(2班)とに無作為にグループ分け(従って、授業ごとに班員が異なる)をした上で、各班に本文を記載したプリントを配付、現代語訳を班単位で完成させる作業に入りました。その際、教室の四隅に貼りだされたヒント(語釈や古文特有の表現の注釈等)を参考に、各班で1~4番の人をじゃんけん等で決めた上で、それぞれが自分の番号のヒントメモを見て回り、プリントに落とし込んでいくことで、最終的な現代語訳を完成させるまでが8分間、ここまでがグループとしての協働作業、その後7分間、今度はプリントに書いたものを各自のノートに転記させる作業、先ほどのワイワイガヤガヤが嘘のような見事に静寂な時間が訪れます。そしてラスト3分間、再びグループのまま3分間、疑問点や注意点等意見交換して、班員全体に知識をしっかり定着させる仕掛けとなっておりました。静から動、動から静への切り替えをスムースに、子供達は無駄話をする余裕もなく、アクティブに動き回りながら、文字通り体と頭を総動員して、彼らにとっては半ば未知の世界とも言うべき古文の深奥に迫っていく学習過程を通じて、まずは古典学習の導入期において、我が国固有の文化と伝統に興味と関心を抱かせつつ、これから長く続いていく古典学習を嫌いにさせないという創意工夫に満ちた授業と見受けました。ちなみに今日の授業で扱った教材の中に、虚しく帰る帝の和歌「帰るさの行幸(みゆき)ものうく思ほえて背きて止まるかぐや姫ゆゑ」に対するかぐや姫の返歌「葎(むぐら)はふ下にも年は経ぬる身のなにかは玉の台(うてな)をも見む」という和歌が出て来ますが、高校生でも解釈に手こずるような和歌を、文法には一切触れることなく大づかみに理解させようとする試みこそ、これからの古典学習には必要不可欠ではないかと参観しながら感じ入っておりました。今週は、9日(木)から11日(土)まで保護者の方々への授業参観日としております。何かとお忙しいこととは思いますが、お繰り合わせの上ご来校頂き、子供達の活き活きとした姿をご覧頂きたく存じます。

 

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

グループの皆で意見交換

グループの皆で意見交換

中学1年生「英語」基礎・基本の定着を目指して (2017.10.31)

 2週連続の台風襲来、大雨に祟られ辟易でしたが、昨日30日(月)は、見事に晴れ上がり、朝の通勤経路でもある多摩ニュータウン通りの公孫樹の木が、眩しいくらいの陽光に照らされ、鮮やかな黄葉になっていることに気付かされました。ここ聖ヶ丘界隈の紅葉も一気に進み、都立桜ヶ丘公園のモミジ、ケヤキ、花水木などの木々も、例年より早く色づいているように感じられます。
さて、校長の授業参観記第3弾ですが、校舎3階からきれいな紅葉も見渡せる尾根環通りに面する1年4組の教室で、英語の授業を参観致しましたのでご紹介致します。

実施概要

 本校の中学一年生の英語は週に6時間ありますが、そのうち、4時間を日本人教師が担当し、英語学習の導入期、まずはしっかり基礎・基本を教え込む一方で、初期の段階から本物の英語に接するべく、1クラス30名をさらに半分に分け、15名ずつALTによる英会話の学習をしております。ALT担当の残り半分は日本人教師が受け持ち、少人数ならではの利点を生かしながら、単語、文法等の基礎的事項についてしっかり教えます。

 小泉教諭は、今年度本校に着任した新進気鋭の女性教員で、留学経験もあることから、その発音の美しさには定評があり、まだまだ幼稚で無邪気な中学1年生を相手に、流れるようなスピード感を持って授業が進められ、参観している私など戸惑うような場面もありましたが、先生の適時にして適切な質問に迅速に反応する生徒の姿に接し、入学後半年にして、よくぞここまで指導して頂いた事と半ば感銘して参観致しました。ただ、小泉教諭には明日から産休に入ることとなり、本日は代替教員をお願いする田邊教諭にも一緒に参観して頂き、双方でしっかり受け継いで頂いた次第です。

 さて、本日の授業ですが、教科書のLesson 6  「My Family」を教材にして、初めは前回の復習を兼ねての一斉授業、この夏、全教室に導入したプロジェクターの画面に投射された本文並びに音声をなぞりながら全員で音読を繰り返した後、2人1組のペアリーディング、メンバーを交代して2回繰り返し、本文の暗記にまで到達させる段階になったところで、もう1回全員でスピードを変えてのリーディング練習、この辺まで来るとほぼ全員暗誦できる状態になったと見るや、「言えたら書けるようになるはず」という合い言葉のもと、各列の指名された順番に前に出て、先生の発音する英文を聞き分けながら一文ずつ板書する作業に入りました。いわばDictationの学習ですが、結果として、全員が前に出て、スペルを間違えないように記述したものを、全員で読みながらスペルの誤りをチェックすることで、誤りやすい単語に注目させる仕掛けになっております。一人が間違えたスペルを全員で直して上げるという過程においては、決して個を批判しないという相互敬愛の気持ちが自ずから身についていくように感じられました。誰ひとりとして、黙っていない、黙らせない、必ずなにがしかの発音、発声を繰り返しながら、テンポ良く授業が進められました。英単語、英文法など基本的な知識、技能がしっかり身につくような仕掛けを意図しながら、常に間断なく問いかけ、答えを引き出しながらまた次に進むという重層的とも言える授業構成は、子供達にむだなおしゃべりをする隙も与えない印象を抱きました。

 授業の最後は、本時の振り返りの小テスト、①~⑦まで一文ずつ、先生の発音を聞きながらのDictation Testで、知識、技能の定着度の確認テストをすることで終結する授業構成は、見ていて小気味よいものでした。全体から個人、或いはグループになり、最後にまた全体で確認した後、個人個人の知識、技能の定着度を測るという流れ、まさに1時間の授業の中で、動と静、アクティブな活動をさせながらもしっかり基礎を身につけさせる、子供達の動きに細心の注意を払いながら、英語に興味・関心を抱かせる創意工夫に満ちた授業でした。英語学習の初期段階において、飽きさせない、嫌いにさせないことのいかに大事なことであるかを改めて実感致しました。

 中学1年生は先週27日(金)、東京テレポートにあるフジテレビの湾岸スタジオで、「目覚ましテレビ」の模倣版とも言える「フジテレビのお仕事!」という体験学習をしてきたばかりですが、本校の教育方針の一つ、「本物から本質に迫る教育」を地でいくような体験をして、一回り大きく成長したような印象を抱きました。と申しますのは、117名、クラスを解体して4チームに分かれ、「目覚ましテレビ」で実際にやるようなニュース、天気予報、「ここ調(しら)」(事前に学校でアンケート等取って調べた内容を紹介するもの)を、リハーサル、本番とフジテレビの担当の方々から手取り足取り指導して頂いた結果、分秒という時間の大切さを身をもって感じ取ってくれたように思います。大人社会の仕事体験を通じて、何かしら得てくれたように思われて仕方がありません。

ディクテーションチェック

ディクテーションチェック

ペアワーク

ペアワーク