中学1年生「社会」地理的思考力の育成を目指して (2017.11.11)

 昨夜未明から南風が吹き付け、この界隈でよく見かけるモミジバフウの真っ赤に色づいた紅葉も虚しく散り急ぐ様が、何となく晩秋の哀愁を感じさせております。日中は暖かくなり、子供達が活き活きと活動するには絶好の陽気となった中、本日は保護者の皆様の授業参観の最終日、土曜日でもあり、大勢の皆様にお出かけ頂きましたが、私も一緒に、本日は中学1年生の社会(地理)の授業を参観しましたので以下にご紹介致します。

 

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 本校の中学社会は、週4時間ありますが、それを歴史的分野(主として日本史)と地理的分野とに分け、それぞれ2時間ずつ、それぞれの分野の専門教員が担当しております。本時は、地理専門の石飛教頭による「アメリカの工業化~世界一の経済大国:USAはいかに生まれたか~」と題する授業で、形態こそ教室の並び通りの一斉授業でしたが、その展開はほとんど生徒との掛け合い、やりとりの連続というもので、先生の問い掛けに対して、生徒は逐一反応するという流れで、テンポ良く進められました。

 生徒は、予め用意された先生手書きのプリントを参考にしながら、発問に答えていく展開ですが、その基底にあるものは、アメリカの綿工業の発展をアメリカ大陸の地形の特色を常に視野に入れさせながら考えさせるという手法に徹し、地理的思考力を養うことへの視点を見失うことのないような発問に終始していたことが本授業の最大の特徴と見受けました。具体的には、アメリカ大陸の東西に連なるロッキー山脈(新期造山帯)とアパラチア山脈(古期造山帯)との相違に気付かせ、綿工業に必要な原料の調達、動力源(水車によるエネルギー)を得るためには、どちらの山脈が適切であったのか、教科書はもとより資料集、地図帳そして手書きのプリントなどを駆使しながらじっくり考えさせるところが本授業の眼目であったかと思います。発問の中には既習事項も多く含まれてはいるものの、忘却の彼方に行ってしまっている生徒もおりましたが、そこはすぐに答えを言わないで、丁寧に訂正しながら粘り強く考えさせることに終始していたのは、中学1年生という発達途上にある子供達には必要不可欠なことと、私など短気な人間には大いに参考になりました。

 アメリカで綿工業が発達したのは、1870年代、つまり19世紀中頃というところから、日本の明治維新(1868年)、その前の黒船の来航(1853年)などに話を持って行き、黒船がなぜ日本に来たのかに思いを馳せさせ、地理と歴史との融合を意識化させながら、トランプ大統領の登場で一躍世界的問題ともなっている保護貿易(共和党)と自由貿易(民主党)の話題に発展させ、アメリカの綿工業の発展当初から貿易を巡る論争が続いているという経済問題まで考えさせるという仕掛けとなっていました。その後、産業構造や奴隷制度に対する認識の相違もあり、南北戦争に突き進むアメリカの歴史にまで話が及び、リンカーンの名前が出たところで、子供達が知っているアメリカ大統領の名前の数々を披露させながら、20世紀前半、いわゆる戦争の歴史を迎えることで、アメリカの近代工業が飛躍的に発展したことにまで授業が深化して行きました。「アメリカの工業化の歴史」について、地理的視点、つまり、アメリカの地形の特色からのアプローチを基点にしつつ、世界的視野に立っての歴史はもとより、都市の発達過程、そこから派生する政治、経済分野にまで考えを飛躍させながら、ともかく考えさせる、そしてそれをプリントの必要箇所に落とし込んでいく作業を通じて、巧まずして思考力、判断力、表現力を育成していく過程が見て取れました。いわゆるアクティブ・ラーニング型授業は、例えばグループ学習として、4~5人のグループを編成し、グループ内の話し合い方式によって展開する形態が多く見られますが、このような一斉授業の中でも、個々人にいかに活発に考えさせ、発言させるか(中1段階では個々に指名しなくても発言する生徒が現れる)によって、主体的、対話的(この場合には生徒相互ではなく先生と生徒との)な深い学びに繋がっていくことを実感させられる授業でした。

図解思考の手ほどき

図解思考の手ほどき

「これまでの学習から考えてみよう!」

「これまでの学習から考えてみよう!」

中学1年生「国語」導入期の古典学習はどうあるべきか? (2017.11.7)

 今日は、24節気で言うところの立冬でしたが、日中はここ聖ヶ丘界隈でも20℃を越えるポカポカ陽気となり、一頃の寒さもどこへやら、まさに小春日和の好天気に誘われて、校舎3階の1年2組の教室で展開された国語の授業を参観致しました。窓から見下ろす多摩市中、住宅街に点在する木々が真っ赤に色づき目に眩しいくらいでしたが、教室内は中学1年生の熱気に溢れ、新しい教材に挑戦しようとする彼らの目はキラキラと輝いておりました。その熱気醒めやらぬうちにと、早速授業参観記にまとめて見ましたので以下にご紹介致します

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 本時の教材は『竹取物語』で、中学入学後初めて本格的な古文に触れるものですので、いわば古典学習導入期の授業のあり方に一石を投じてくれたものと、昔取った杵柄よろしく、自らの古典学習の有り様を振り返りながら半ば懐かしく参観致しました。

 授業の流れとしては、まず最初に10問からなる漢字テストを実施、出岡先生の授業スタイルの特徴として、短時間でテンポ良く進めるということが習慣化していて、この小テストも5分間で終了、時間切れとともに後ろから回収、後ほど採点し、不合格者にはやり直しの漢字練習をして提出させることで、漢字力の定着を測っております。

 次に、前時に学習した『竹取物語』の冒頭の暗誦を全員で声高らかに朗唱、先生が「そ」と言えば「その竹の中に」と唱え、「も」と言えば「もと光る竹なむありける」「あ」と言えば「怪しがりて寄りて見るに」とリズミカルにどんどん繋いでいく展開は、耳に優しく仏教の声明(しょうみょう)を聞いているような錯覚に陥りました。多くの男子がまだ声変わりしていないこともあり、爽やかな声色が響きわたっておりました。そして、本時の場面(帝がかぐや姫のもとを訪ねながらも、姫の拒絶に遭い、虚しく引き返す場面)に入りますが、まず各自で既に書写し終わっている古文の原文に、現代語訳を付ける個人作業を5分間、ひたすらノートに訳を書き続ける人もいれば、ほとんど手つかずの人もいて、予習状況が垣間見られる場面でした。終了後、2分間だけ、教室内立ち歩き自由で、互いに教え合う時間が挿入され、実に活発に動き回り、自分で埋めきれなかった部分を友達に聞いて回る学習には微笑ましいものを感じました。この途中で先生からの適切な指示が入り、自分で分からなかったところには線を引くとか、赤鉛筆で記入するとか、ポイントとなる部分をしっかり確認させる作業にも目配りをしておりました。そして、本時のクライマックス、中学1年生は30人の少人数クラスとなっておりますが、それを4人の班(5班)と5人の班(2班)とに無作為にグループ分け(従って、授業ごとに班員が異なる)をした上で、各班に本文を記載したプリントを配付、現代語訳を班単位で完成させる作業に入りました。その際、教室の四隅に貼りだされたヒント(語釈や古文特有の表現の注釈等)を参考に、各班で1~4番の人をじゃんけん等で決めた上で、それぞれが自分の番号のヒントメモを見て回り、プリントに落とし込んでいくことで、最終的な現代語訳を完成させるまでが8分間、ここまでがグループとしての協働作業、その後7分間、今度はプリントに書いたものを各自のノートに転記させる作業、先ほどのワイワイガヤガヤが嘘のような見事に静寂な時間が訪れます。そしてラスト3分間、再びグループのまま3分間、疑問点や注意点等意見交換して、班員全体に知識をしっかり定着させる仕掛けとなっておりました。静から動、動から静への切り替えをスムースに、子供達は無駄話をする余裕もなく、アクティブに動き回りながら、文字通り体と頭を総動員して、彼らにとっては半ば未知の世界とも言うべき古文の深奥に迫っていく学習過程を通じて、まずは古典学習の導入期において、我が国固有の文化と伝統に興味と関心を抱かせつつ、これから長く続いていく古典学習を嫌いにさせないという創意工夫に満ちた授業と見受けました。ちなみに今日の授業で扱った教材の中に、虚しく帰る帝の和歌「帰るさの行幸(みゆき)ものうく思ほえて背きて止まるかぐや姫ゆゑ」に対するかぐや姫の返歌「葎(むぐら)はふ下にも年は経ぬる身のなにかは玉の台(うてな)をも見む」という和歌が出て来ますが、高校生でも解釈に手こずるような和歌を、文法には一切触れることなく大づかみに理解させようとする試みこそ、これからの古典学習には必要不可欠ではないかと参観しながら感じ入っておりました。今週は、9日(木)から11日(土)まで保護者の方々への授業参観日としております。何かとお忙しいこととは思いますが、お繰り合わせの上ご来校頂き、子供達の活き活きとした姿をご覧頂きたく存じます。

 

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

グループの皆で意見交換

グループの皆で意見交換

中学1年生「英語」基礎・基本の定着を目指して (2017.10.31)

 2週連続の台風襲来、大雨に祟られ辟易でしたが、昨日30日(月)は、見事に晴れ上がり、朝の通勤経路でもある多摩ニュータウン通りの公孫樹の木が、眩しいくらいの陽光に照らされ、鮮やかな黄葉になっていることに気付かされました。ここ聖ヶ丘界隈の紅葉も一気に進み、都立桜ヶ丘公園のモミジ、ケヤキ、花水木などの木々も、例年より早く色づいているように感じられます。
さて、校長の授業参観記第3弾ですが、校舎3階からきれいな紅葉も見渡せる尾根環通りに面する1年4組の教室で、英語の授業を参観致しましたのでご紹介致します。

実施概要

 本校の中学一年生の英語は週に6時間ありますが、そのうち、4時間を日本人教師が担当し、英語学習の導入期、まずはしっかり基礎・基本を教え込む一方で、初期の段階から本物の英語に接するべく、1クラス30名をさらに半分に分け、15名ずつALTによる英会話の学習をしております。ALT担当の残り半分は日本人教師が受け持ち、少人数ならではの利点を生かしながら、単語、文法等の基礎的事項についてしっかり教えます。

 小泉教諭は、今年度本校に着任した新進気鋭の女性教員で、留学経験もあることから、その発音の美しさには定評があり、まだまだ幼稚で無邪気な中学1年生を相手に、流れるようなスピード感を持って授業が進められ、参観している私など戸惑うような場面もありましたが、先生の適時にして適切な質問に迅速に反応する生徒の姿に接し、入学後半年にして、よくぞここまで指導して頂いた事と半ば感銘して参観致しました。ただ、小泉教諭には明日から産休に入ることとなり、本日は代替教員をお願いする田邊教諭にも一緒に参観して頂き、双方でしっかり受け継いで頂いた次第です。

 さて、本日の授業ですが、教科書のLesson 6  「My Family」を教材にして、初めは前回の復習を兼ねての一斉授業、この夏、全教室に導入したプロジェクターの画面に投射された本文並びに音声をなぞりながら全員で音読を繰り返した後、2人1組のペアリーディング、メンバーを交代して2回繰り返し、本文の暗記にまで到達させる段階になったところで、もう1回全員でスピードを変えてのリーディング練習、この辺まで来るとほぼ全員暗誦できる状態になったと見るや、「言えたら書けるようになるはず」という合い言葉のもと、各列の指名された順番に前に出て、先生の発音する英文を聞き分けながら一文ずつ板書する作業に入りました。いわばDictationの学習ですが、結果として、全員が前に出て、スペルを間違えないように記述したものを、全員で読みながらスペルの誤りをチェックすることで、誤りやすい単語に注目させる仕掛けになっております。一人が間違えたスペルを全員で直して上げるという過程においては、決して個を批判しないという相互敬愛の気持ちが自ずから身についていくように感じられました。誰ひとりとして、黙っていない、黙らせない、必ずなにがしかの発音、発声を繰り返しながら、テンポ良く授業が進められました。英単語、英文法など基本的な知識、技能がしっかり身につくような仕掛けを意図しながら、常に間断なく問いかけ、答えを引き出しながらまた次に進むという重層的とも言える授業構成は、子供達にむだなおしゃべりをする隙も与えない印象を抱きました。

 授業の最後は、本時の振り返りの小テスト、①~⑦まで一文ずつ、先生の発音を聞きながらのDictation Testで、知識、技能の定着度の確認テストをすることで終結する授業構成は、見ていて小気味よいものでした。全体から個人、或いはグループになり、最後にまた全体で確認した後、個人個人の知識、技能の定着度を測るという流れ、まさに1時間の授業の中で、動と静、アクティブな活動をさせながらもしっかり基礎を身につけさせる、子供達の動きに細心の注意を払いながら、英語に興味・関心を抱かせる創意工夫に満ちた授業でした。英語学習の初期段階において、飽きさせない、嫌いにさせないことのいかに大事なことであるかを改めて実感致しました。

 中学1年生は先週27日(金)、東京テレポートにあるフジテレビの湾岸スタジオで、「目覚ましテレビ」の模倣版とも言える「フジテレビのお仕事!」という体験学習をしてきたばかりですが、本校の教育方針の一つ、「本物から本質に迫る教育」を地でいくような体験をして、一回り大きく成長したような印象を抱きました。と申しますのは、117名、クラスを解体して4チームに分かれ、「目覚ましテレビ」で実際にやるようなニュース、天気予報、「ここ調(しら)」(事前に学校でアンケート等取って調べた内容を紹介するもの)を、リハーサル、本番とフジテレビの担当の方々から手取り足取り指導して頂いた結果、分秒という時間の大切さを身をもって感じ取ってくれたように思います。大人社会の仕事体験を通じて、何かしら得てくれたように思われて仕方がありません。

ディクテーションチェック

ディクテーションチェック

ペアワーク

ペアワーク

中学 1 年生「数学」連立不等式を学ぶ (2017.10.26)

 先週末襲来した台風 21 号では、各地に甚大な被害が出てしまいましたが、本校でも 23 日(月)は、交通機関の乱れもあり休校と致しました。ただ、当日は、高校 2 年生の修学旅行 出発日、広島・四国方面、伊勢・関西方面、東北・北海道方面と今年で 3 年目となります多方 面修学旅行に向けて、東京駅、新横浜駅での集合としておりましたが、朝のうちから横浜線が全線不通となったのに巻き込まれ、新横浜駅集合班のみ、2班に分かれての出発を余儀なくされてしまいました。その後は各地天候に恵まれて順調に日程をこなしております。

 さて、校長の授業参観記第2弾ですが、校舎3階から山頂部に美しく冠雪した富士山が 望まれる中学1年 2 組の数学の授業をご紹介致します。

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 植竹教諭は、今年度中学 1 年生の学年主任として、1~3 組まで担当、その全ての授業で アクティブ・ラーニング型授業(以下 AL 授業と表記)を実践、日々試行錯誤しながらも、生 徒自身或いは友達同士、互いに協働しながら、受け身になることなく、学習に自発的に取 り組む姿勢、自ら調べ考える習慣をつけていくことを目指しております。 本日の授業は、「連立不等式(1)」のワークシートプリント(No.55)に.示された各種問 題、前時間に配付し、解答を個人または班員相互に相談し合って解いた答えを、指名された各班の代表が板書し、それを丸付け係と称する生徒が前に出て正解の場合には〇、不正解の場合は訂正してあげる、という手法で授業が進められ、その途中で、植竹教諭の適時適切な指導、助言がなされるという展開、この間、生徒は自分の答案に目通しし、正否の確認をしたり、よく理解できない問題について友達と協議したりという活動がなされてい ました。続いて、本日新たに配付されたワークシート No.56 「連立不等式(2)」の問題に取 り組み始めましたが、ここでもまず個人で考え、解き始めますが、途中で行き詰まると、班員と相談したり、場合によっては班を抜け出し、他の班のメンバーと相談したりすることも可能となっております。この段階で教室のあちこちから「ああ、なるほどね」とか「で きた!」「やったー!!」「なんで?」「これあってないの?」など、特にまだ声変わりしていな い男子の黄色い喚声が上がります。自分で理解出来ていなかったことが、友達の一言によって、分かった時の感動表現として微笑ましく聞いておりました。学校行事などの各種イベントの中でこそ、詠嘆、感動の場面によく遭遇しますが、このように日常の授業の中で の「笑顔と感動」こそ貴重なものはないのではないかと見ている私の方が嬉しくなりました。

「学び合う」生徒たち

「学び合う」生徒たち

「教え合う」ことで成績も向上

「教え合う」ことで成績も向上

 

 数学の得意な生徒が、やや不得意な生徒に誇らしげに教えている姿もまた美しくなにものにも替え難い光景でもありました。

 AL型授業については、教科、学年によって、その取り組み方は様々ですが、植竹教諭の場合、以下のような目標を見据えながら実践されていますので、その一端をご紹介致します。

  • 班員同士互いに教え合うことで相互の理解力を高めること。
  • 一見、教わる方にだけ得があると思われがちであるが、教える側と教わる側で、どちらがより勉強し理解できるかと言うと、多くの生徒が教える方と答えていること。
  • 一部の生徒が理解してどんどん先に行くことではなく、クラス全員が理解すること、つまり、誰一人として遅れる人を作らないことが最大の目標である。そうすることで、教える側の生徒の理解度も高まる結果となること。

 本日の授業でも、授業の合間合間に適切な指導、助言を差し挟むことで、上記のような目標を生徒自身にもしっかり認識させながら展開されていたことを目の当たりにさせて頂きました。中学1年生というまだまだ無邪気で価値観も定着していない子供達に、粘り強くかつ教師自身いかに忍耐強く継続的に取り組んでいくかが、このAL型授業実践に不可欠なことであることを実感させられた授業でもありました。

 

 

 

 

五十嵐校長の授業参観記 第48回衆議院議員選挙を目前に (2017.10.12)

平成29年度スタートに当たり、従来の「五十嵐校長のWeb日記」に代わり、今年度は「五十嵐校長の授業参観記」なるものを折々に紹介させて頂く旨、宣言させて頂きながら、諸般の事情により、今年の秋も深まり行く頃になってしまいましたことをまずはお詫び申し上げます。遅ればせながら、本日始動、偶々高校2年生の公民科「時事問題」という授業の中で、目前に迫ってきた第48回衆議院議員選挙の模擬投票を取り上げてくれましたので、時宜を得たものと思い、早速に紹介させて頂きます。

*実施学年・科目・単位数(人数)・担当教諭名:高校2年生(文系)・公民科選択科目(時事問題)2単位(11名)・染谷秀子教諭*実施日時・場所:平成29年10月12日(木)2限・Learning Square

この「時事問題」という科目は、まさに世の中で起こる森羅万象が素材になるもので、

日々、時々刻々に生起する日本はもとより世界各地の諸問題を授業の題材として取り上げ、それぞれの問題について分析しながら、自分の意見を毎時間最後に書いて提出することになっております。そして毎月初めの授業で、先月の問題について、日本、海外とに分けて発表することで、認識の定着を図っております。この作業を継続していく中で、多様な意見を持つ仲間達と議論・協働しながら一定の結論に達する、或いは結論は敢えて出さないまでも、意見交換を交わす中で互いの思考力・判断力・表現力を高め合うことを目的にしております。

10月12日(木)の授業は、上記の通り、10月22日(日)に予定されている衆議院議員選挙を前提に、11名の生徒全員が、候補者になったつもりで、各自の政策を発表し合った後、参観している教員ならびに候補者全員も即投票に移るという流れで展開されました。所属政党は、自民党や民進党などの既成政党の他、都明党、獅子党などの新党結成者、さらには無所属と、創意工夫を凝らしながらも、今回の衆議院選挙における混乱ぶりを反映したようなユニークなものもあり、参観する有権者の興味関心を高めておりました。

さて、いよいよ各候補者の政策の発表となりましたが、11名全員前に出て、声高らかに政策を訴えるかと思いきや、普段からおとなしい学年という定評を得ている学年の本領発揮、まず恥ずかしさが先行し、どうしても自ら作成したメモを見ながらの発表が多かったのはやや残念ではありました。選挙においては、政策の中身もさることながら、声の大きさや発表態度、時にははったりなども必要とされるだけに、有権者の心にどのくらい響いてくれたか心配な発表もありました。ただ、政策の中身という点では、11名中9名まで最近都議会でも話題になった受動喫煙防止に関わる案件を強調していたのは印象的でした。

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各候補者のポスター掲示                     候補者による政策発表風景

互いに相談してそのような案件を取り上げたことでないとしたら、若者にとって、最早喫煙は縁遠いものとなってきていることを実感させられ、喫煙している方には申し訳のないことではあるが、日本の未来は色々な意味で明るいのではないかと思いました。一方で、若者の感性は種々様々で、巷間取り上げられているような消費税の問題、北朝鮮問題、憲法問題、東日本大震災の復興問題、労働者の働き方問題(プレミアムフライデー含む)、少子高齢化問題、原発ならびにエネルギー戦略の問題、国会議員の報酬削減問題(議員定数の削減含む)、人作り革命や教育の無償化問題等々、それぞれに説得力のある訴えが相次ぎ、我々大人自身、22日の投票日に向けて様々考えさせられる授業でありました。授業後の即日開票の結果、ここ聖ヶ丘選挙区においては、自民党の早川侑希さんがトップ当選となりました。早川さんの地元に密着しつつ、多様な政策について自信を持って力強く訴えたことが有権者の心に染みこんだものと思われます。さて、22日投開票の本番ではどのような結果となりましょうか?日本の未来を明るく切り開いてくれるような議員さんが沢山登場してくれることを心待ちにしております。

 

 

 

校長就任挨拶(2014,4,7)

五十嵐 校長

    私は、このたび丹伊田敏校長の後任として、4月1日より多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校長に就任いたしました五十嵐一郎と申します。昨年1年間は、副校長として本校の学校運営全般にわたり種々体験、学習し、校長としての職務内容や、その責任の重さを痛感したところでございます。校長就任に当たり、本校HP上ではありますが、一言ご挨拶申し上げます。

 僭越ですが、最初に自己紹介をさせていただきます。私は、新潟県糸魚川市の出身で、東京の大学で日本文学専攻、取り分け国語学を学んだ後、神奈川県立相模原高等学校で、国語科の教員としてスタートし、5年後、新設の上溝南高校に転出、併せて12年、神奈川県にお世話になりました。その後、縁あって国立の東京学芸大学附属高等学校に転出、そこで26年間国語科教員並びに副校長として勤めた後、東京学芸大学附属学校運営参事(特任教授)として、大学運営の一翼を担うとともに、東京学芸大学の附属学校園(幼稚園から特別支援学校まで12校園あり)の統括運営・管理・指導・助言等の業務を担当、平成25年3月任期満了で退職し、同年4月本校に副校長として着任致しました。永く国公立学校、しかも高等学校に勤務していたことから、私立学校で、6年制の中高一貫校の環境は新鮮そのもので、取り分け中学生の可愛さにはついつい微笑んでしまいます。

 さて、本校は、この3月に24期生を送り出したばかりのまだ若い学校ですが、先人の弛まぬ努力により、多摩地域の名門進学校としての地歩を確立し、日々着実に前進しております。卒業生数は24期生で3,784名 に達し、社会の各分野において中核的存在として活躍しております。在籍中の生徒諸君も各学年120名前後という少人数でもあり、日々和気藹々と明るく爽やか、楽しい学校生活を送っており、それを見守る教職員もまた、一人ひとりの生徒への目配り・気配りも細やかに、中学から高校卒業までの6年間、人生におけるまさに疾風怒濤の時代をともに生き、心身の大きな成長の手助けを惜しむことなく継続的に尽力しております。今年度新たに3人の新進気鋭の専任教員も加わり、益々パワーアップした教員集団を、今後の学校説明会等でお出でいただいた際にでも、ご覧いただければ幸いです。

 本校の教育方針として、(1)豊かな自然の中での人間教育、(2)少人数でのきめの細かい指導、(3)本物に触れる教育、(4)基礎学力の充実と思考力の育成、(5)笑顔と感動の学校生活、という5つの柱を上げておりますが、多摩丘陵の緑豊かで風光明媚な環境と、閑静な住宅街に囲まれたこの聖ヶ丘の学舎は、これらの教育方針を具現化するに最適な環境にあります。ここに集う素直で誠実な若者達の日常は、多摩(たま)(ひじ)独特の学校文化を醸しだし、中学から高校まで日々笑顔と感動に包まれながら、心身の成長と学力の伸長に努めております。中学1年生からの6年間の成長ぶりは目に眩しいくらいで、明るく伸びやかな学校生活を送っております。

 校長就任に当たり、多摩聖教育のさらなる質の向上を追求し、微力ながら貢献していく所存でおります。前任校長に変わらぬご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 なお、この「五十嵐校長Web日記」は、本校の多種多様な教育活動全般にわたり、広く一般の方々にもご理解いただくためにも、少なくとも毎月1回は更新しながら、多摩丘陵の自然に抱かれて展開する四季折々の教育活動をご紹介申し上げたいと考えております。お楽しみにご覧いただければ幸いです。

 最後に、最新のニュースですが、本校の高校ダンスドリル部が、去る3/29(土)アメリカのDentonにて開催されたAmerican Dance Drill National/International Competition 2014において、Pom部門第1位、すべての出場部門でも総合第1位を獲得いたしました。新年度早々のビッグニュースで、幸先の良いスタートとなりました。詳細はHP上の記事をご覧ください。

 

平成26年4月7日
学校法人田村学園
多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
校長 五十嵐一郎