教育実習生の授業参観 (2018.6.11)

 平成30年度も早6月半ばとなり、去る6月6日には関東地方の梅雨入りも発表となり、今日は朝から激しい雨に見舞われてしまいました。本校では、去る5月28日(月)~3週間にわたり今年度の教育実習生11名を受け入れており、今週はそのラストウイークということでもあり、実習生の授業を参観しておりますので、本日から暫く実習生の授業を紹介しようと思います。

毎年のことながら、本校の教育実習生の受入れは、本校の卒業生であることを原則として受け入れておりますが、各期の卒業生約120名として、その1割に当たる人達が、教師を目指して実習に来てくれます。長く教員人生を経てきましたが、毎年卒業生の1割相当に上る人が実習に来る学校というのは経験がなく、自分もいずれ教職に就きたいという思いを抱いて、まるで鮭が生まれた川に戻ってくるように、教育実習に戻ってきてくれるということは、中高一貫6年間でいかに先生方との緊密な関係が構築されていたかということに思いを馳せ、大変喜ばしく思っております。

 その実習生の中から、本日は中学1年生の理科(生物分野)の授業を参観しましたので、以下にご紹介致します。

 

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 よく学校説明会でご紹介しているように、本校の中学理科は週4時間あり、それを第1分野(物理・化学)と第2分野 (生物・地学)とに分けて実施し、3年間で100を越える実験・実習授業を展開しております。本時では、「タマネギの鱗茎の表皮細胞とヒトの口腔上皮細胞を観察し、植物細胞と動物細胞の大きさや構造の違いを理解する。」目的で、タマネギと各自の口腔内細胞とを材料に、一人一台の顕微鏡を使って、その構造上の違いを確認させておりました。実習器具としては、顕微鏡(1人1台当て)、プレパラートセット(スライドガラス、カバーガラスなど)、スポイト、ピンセット、薬品には、核を染めて見やすくするための酢酸カーミン(かなり強烈な臭い有り)を用いておりました。まずは実験に入る前に、この実験の意義、方法等についての説明がありましたが、23名という少人数でもあり、皆礼儀正しく先生の話をよく聞いた上で、いざ実験ということになると1人1台ずつ、積極的に顕微鏡を受け取り、手早くセットして各自実験に入りました。ただ、タマネギの鱗片葉の内側の表皮をカッターで約5㎜四方の大きさに切ってはぎ取り、スライドガラスに載せる段階で多少の器用さ加減が現れて、実験の進行度合いに差が出てきました。ここで注目すべきは、実験そのものは、個人の作業ではあるものの、4人のグループ内では、互いに相談したり、早くできた人の顕微鏡を覗いたりして見事な協働作業がいつの間にか成立しておりました。そしてきれいなタマネギの核が見えると「キレー」とか「オー」とかいうまさに感動の声があちこちから上がり、これぞ本物に触れたときの喚声と意を強くしました。

 続いて、各自、頬の内側を綿棒で軽くこすり、それについたものをスライドガラスにこすりつけ、再び酢酸カーミンを1滴垂らし、暫く置いてからカバーガラスを掛け、顕微鏡で観察しましたが、こちらはタマネギのようにはことが上手く進まず、なかなかきれいな細胞とはならず、相当苦労している人がいる中で、恐らく器用で実験上手な生徒でしょうか、タマネギとは異なるヒトの細胞核がきれいに見えた人の顕微鏡には何人となく覗きにきておりました。私も一緒に覗いてみましたが、実に美しく感動的な核がハッキリ見えました。誇らしげな生徒の笑顔とそれを覗いては「キレイ」と声を上げる生徒を見ながら、ここにこそ「笑顔と感動の学校生活」があることを実感させられました。

 実験終了後は、各自それぞれのスケッチを完成させ、観察のポイント(①~⑤)をまとめ、最後にこの実験で「気がついたこと・感想」をまとめ上げて2時間の授業が終了致しました。本校の教育方針として、3つの柱を掲げておりますが、この実験授業では、見事に「少人数できめの細かい指導」「本物から本質に迫る教育」そして「主体性と協働性の育成」を視野に取り組んでいることをつぶさに見ることが出来ました。日々地道な実践の中で、先生方が常にこの3つの柱を意識しながら種々の教育活動を展開されていることに胸撫で下ろした次第です。

 

まずは実験手順の説明 (1)

まずは実験手順の説明 (1)

まずは実験手順の説明 (2)

まずは実験手順の説明 (2)