中学1年生「社会」地理的思考力の育成を目指して (2017.11.11)

 昨夜未明から南風が吹き付け、この界隈でよく見かけるモミジバフウの真っ赤に色づいた紅葉も虚しく散り急ぐ様が、何となく晩秋の哀愁を感じさせております。日中は暖かくなり、子供達が活き活きと活動するには絶好の陽気となった中、本日は保護者の皆様の授業参観の最終日、土曜日でもあり、大勢の皆様にお出かけ頂きましたが、私も一緒に、本日は中学1年生の社会(地理)の授業を参観しましたので以下にご紹介致します。

 

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 本校の中学社会は、週4時間ありますが、それを歴史的分野(主として日本史)と地理的分野とに分け、それぞれ2時間ずつ、それぞれの分野の専門教員が担当しております。本時は、地理専門の石飛教頭による「アメリカの工業化~世界一の経済大国:USAはいかに生まれたか~」と題する授業で、形態こそ教室の並び通りの一斉授業でしたが、その展開はほとんど生徒との掛け合い、やりとりの連続というもので、先生の問い掛けに対して、生徒は逐一反応するという流れで、テンポ良く進められました。

 生徒は、予め用意された先生手書きのプリントを参考にしながら、発問に答えていく展開ですが、その基底にあるものは、アメリカの綿工業の発展をアメリカ大陸の地形の特色を常に視野に入れさせながら考えさせるという手法に徹し、地理的思考力を養うことへの視点を見失うことのないような発問に終始していたことが本授業の最大の特徴と見受けました。具体的には、アメリカ大陸の東西に連なるロッキー山脈(新期造山帯)とアパラチア山脈(古期造山帯)との相違に気付かせ、綿工業に必要な原料の調達、動力源(水車によるエネルギー)を得るためには、どちらの山脈が適切であったのか、教科書はもとより資料集、地図帳そして手書きのプリントなどを駆使しながらじっくり考えさせるところが本授業の眼目であったかと思います。発問の中には既習事項も多く含まれてはいるものの、忘却の彼方に行ってしまっている生徒もおりましたが、そこはすぐに答えを言わないで、丁寧に訂正しながら粘り強く考えさせることに終始していたのは、中学1年生という発達途上にある子供達には必要不可欠なことと、私など短気な人間には大いに参考になりました。

 アメリカで綿工業が発達したのは、1870年代、つまり19世紀中頃というところから、日本の明治維新(1868年)、その前の黒船の来航(1853年)などに話を持って行き、黒船がなぜ日本に来たのかに思いを馳せさせ、地理と歴史との融合を意識化させながら、トランプ大統領の登場で一躍世界的問題ともなっている保護貿易(共和党)と自由貿易(民主党)の話題に発展させ、アメリカの綿工業の発展当初から貿易を巡る論争が続いているという経済問題まで考えさせるという仕掛けとなっていました。その後、産業構造や奴隷制度に対する認識の相違もあり、南北戦争に突き進むアメリカの歴史にまで話が及び、リンカーンの名前が出たところで、子供達が知っているアメリカ大統領の名前の数々を披露させながら、20世紀前半、いわゆる戦争の歴史を迎えることで、アメリカの近代工業が飛躍的に発展したことにまで授業が深化して行きました。「アメリカの工業化の歴史」について、地理的視点、つまり、アメリカの地形の特色からのアプローチを基点にしつつ、世界的視野に立っての歴史はもとより、都市の発達過程、そこから派生する政治、経済分野にまで考えを飛躍させながら、ともかく考えさせる、そしてそれをプリントの必要箇所に落とし込んでいく作業を通じて、巧まずして思考力、判断力、表現力を育成していく過程が見て取れました。いわゆるアクティブ・ラーニング型授業は、例えばグループ学習として、4~5人のグループを編成し、グループ内の話し合い方式によって展開する形態が多く見られますが、このような一斉授業の中でも、個々人にいかに活発に考えさせ、発言させるか(中1段階では個々に指名しなくても発言する生徒が現れる)によって、主体的、対話的(この場合には生徒相互ではなく先生と生徒との)な深い学びに繋がっていくことを実感させられる授業でした。

図解思考の手ほどき

図解思考の手ほどき

「これまでの学習から考えてみよう!」

「これまでの学習から考えてみよう!」

中学1年生「国語」導入期の古典学習はどうあるべきか? (2017.11.7)

 今日は、24節気で言うところの立冬でしたが、日中はここ聖ヶ丘界隈でも20℃を越えるポカポカ陽気となり、一頃の寒さもどこへやら、まさに小春日和の好天気に誘われて、校舎3階の1年2組の教室で展開された国語の授業を参観致しました。窓から見下ろす多摩市中、住宅街に点在する木々が真っ赤に色づき目に眩しいくらいでしたが、教室内は中学1年生の熱気に溢れ、新しい教材に挑戦しようとする彼らの目はキラキラと輝いておりました。その熱気醒めやらぬうちにと、早速授業参観記にまとめて見ましたので以下にご紹介致します

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 本時の教材は『竹取物語』で、中学入学後初めて本格的な古文に触れるものですので、いわば古典学習導入期の授業のあり方に一石を投じてくれたものと、昔取った杵柄よろしく、自らの古典学習の有り様を振り返りながら半ば懐かしく参観致しました。

 授業の流れとしては、まず最初に10問からなる漢字テストを実施、出岡先生の授業スタイルの特徴として、短時間でテンポ良く進めるということが習慣化していて、この小テストも5分間で終了、時間切れとともに後ろから回収、後ほど採点し、不合格者にはやり直しの漢字練習をして提出させることで、漢字力の定着を測っております。

 次に、前時に学習した『竹取物語』の冒頭の暗誦を全員で声高らかに朗唱、先生が「そ」と言えば「その竹の中に」と唱え、「も」と言えば「もと光る竹なむありける」「あ」と言えば「怪しがりて寄りて見るに」とリズミカルにどんどん繋いでいく展開は、耳に優しく仏教の声明(しょうみょう)を聞いているような錯覚に陥りました。多くの男子がまだ声変わりしていないこともあり、爽やかな声色が響きわたっておりました。そして、本時の場面(帝がかぐや姫のもとを訪ねながらも、姫の拒絶に遭い、虚しく引き返す場面)に入りますが、まず各自で既に書写し終わっている古文の原文に、現代語訳を付ける個人作業を5分間、ひたすらノートに訳を書き続ける人もいれば、ほとんど手つかずの人もいて、予習状況が垣間見られる場面でした。終了後、2分間だけ、教室内立ち歩き自由で、互いに教え合う時間が挿入され、実に活発に動き回り、自分で埋めきれなかった部分を友達に聞いて回る学習には微笑ましいものを感じました。この途中で先生からの適切な指示が入り、自分で分からなかったところには線を引くとか、赤鉛筆で記入するとか、ポイントとなる部分をしっかり確認させる作業にも目配りをしておりました。そして、本時のクライマックス、中学1年生は30人の少人数クラスとなっておりますが、それを4人の班(5班)と5人の班(2班)とに無作為にグループ分け(従って、授業ごとに班員が異なる)をした上で、各班に本文を記載したプリントを配付、現代語訳を班単位で完成させる作業に入りました。その際、教室の四隅に貼りだされたヒント(語釈や古文特有の表現の注釈等)を参考に、各班で1~4番の人をじゃんけん等で決めた上で、それぞれが自分の番号のヒントメモを見て回り、プリントに落とし込んでいくことで、最終的な現代語訳を完成させるまでが8分間、ここまでがグループとしての協働作業、その後7分間、今度はプリントに書いたものを各自のノートに転記させる作業、先ほどのワイワイガヤガヤが嘘のような見事に静寂な時間が訪れます。そしてラスト3分間、再びグループのまま3分間、疑問点や注意点等意見交換して、班員全体に知識をしっかり定着させる仕掛けとなっておりました。静から動、動から静への切り替えをスムースに、子供達は無駄話をする余裕もなく、アクティブに動き回りながら、文字通り体と頭を総動員して、彼らにとっては半ば未知の世界とも言うべき古文の深奥に迫っていく学習過程を通じて、まずは古典学習の導入期において、我が国固有の文化と伝統に興味と関心を抱かせつつ、これから長く続いていく古典学習を嫌いにさせないという創意工夫に満ちた授業と見受けました。ちなみに今日の授業で扱った教材の中に、虚しく帰る帝の和歌「帰るさの行幸(みゆき)ものうく思ほえて背きて止まるかぐや姫ゆゑ」に対するかぐや姫の返歌「葎(むぐら)はふ下にも年は経ぬる身のなにかは玉の台(うてな)をも見む」という和歌が出て来ますが、高校生でも解釈に手こずるような和歌を、文法には一切触れることなく大づかみに理解させようとする試みこそ、これからの古典学習には必要不可欠ではないかと参観しながら感じ入っておりました。今週は、9日(木)から11日(土)まで保護者の方々への授業参観日としております。何かとお忙しいこととは思いますが、お繰り合わせの上ご来校頂き、子供達の活き活きとした姿をご覧頂きたく存じます。

 

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

壁に貼られたヒントをもとにグループで現代語訳

グループの皆で意見交換

グループの皆で意見交換

中学1年生「英語」基礎・基本の定着を目指して (2017.10.31)

 2週連続の台風襲来、大雨に祟られ辟易でしたが、昨日30日(月)は、見事に晴れ上がり、朝の通勤経路でもある多摩ニュータウン通りの公孫樹の木が、眩しいくらいの陽光に照らされ、鮮やかな黄葉になっていることに気付かされました。ここ聖ヶ丘界隈の紅葉も一気に進み、都立桜ヶ丘公園のモミジ、ケヤキ、花水木などの木々も、例年より早く色づいているように感じられます。
さて、校長の授業参観記第3弾ですが、校舎3階からきれいな紅葉も見渡せる尾根環通りに面する1年4組の教室で、英語の授業を参観致しましたのでご紹介致します。

実施概要

 本校の中学一年生の英語は週に6時間ありますが、そのうち、4時間を日本人教師が担当し、英語学習の導入期、まずはしっかり基礎・基本を教え込む一方で、初期の段階から本物の英語に接するべく、1クラス30名をさらに半分に分け、15名ずつALTによる英会話の学習をしております。ALT担当の残り半分は日本人教師が受け持ち、少人数ならではの利点を生かしながら、単語、文法等の基礎的事項についてしっかり教えます。

 小泉教諭は、今年度本校に着任した新進気鋭の女性教員で、留学経験もあることから、その発音の美しさには定評があり、まだまだ幼稚で無邪気な中学1年生を相手に、流れるようなスピード感を持って授業が進められ、参観している私など戸惑うような場面もありましたが、先生の適時にして適切な質問に迅速に反応する生徒の姿に接し、入学後半年にして、よくぞここまで指導して頂いた事と半ば感銘して参観致しました。ただ、小泉教諭には明日から産休に入ることとなり、本日は代替教員をお願いする田邊教諭にも一緒に参観して頂き、双方でしっかり受け継いで頂いた次第です。

 さて、本日の授業ですが、教科書のLesson 6  「My Family」を教材にして、初めは前回の復習を兼ねての一斉授業、この夏、全教室に導入したプロジェクターの画面に投射された本文並びに音声をなぞりながら全員で音読を繰り返した後、2人1組のペアリーディング、メンバーを交代して2回繰り返し、本文の暗記にまで到達させる段階になったところで、もう1回全員でスピードを変えてのリーディング練習、この辺まで来るとほぼ全員暗誦できる状態になったと見るや、「言えたら書けるようになるはず」という合い言葉のもと、各列の指名された順番に前に出て、先生の発音する英文を聞き分けながら一文ずつ板書する作業に入りました。いわばDictationの学習ですが、結果として、全員が前に出て、スペルを間違えないように記述したものを、全員で読みながらスペルの誤りをチェックすることで、誤りやすい単語に注目させる仕掛けになっております。一人が間違えたスペルを全員で直して上げるという過程においては、決して個を批判しないという相互敬愛の気持ちが自ずから身についていくように感じられました。誰ひとりとして、黙っていない、黙らせない、必ずなにがしかの発音、発声を繰り返しながら、テンポ良く授業が進められました。英単語、英文法など基本的な知識、技能がしっかり身につくような仕掛けを意図しながら、常に間断なく問いかけ、答えを引き出しながらまた次に進むという重層的とも言える授業構成は、子供達にむだなおしゃべりをする隙も与えない印象を抱きました。

 授業の最後は、本時の振り返りの小テスト、①~⑦まで一文ずつ、先生の発音を聞きながらのDictation Testで、知識、技能の定着度の確認テストをすることで終結する授業構成は、見ていて小気味よいものでした。全体から個人、或いはグループになり、最後にまた全体で確認した後、個人個人の知識、技能の定着度を測るという流れ、まさに1時間の授業の中で、動と静、アクティブな活動をさせながらもしっかり基礎を身につけさせる、子供達の動きに細心の注意を払いながら、英語に興味・関心を抱かせる創意工夫に満ちた授業でした。英語学習の初期段階において、飽きさせない、嫌いにさせないことのいかに大事なことであるかを改めて実感致しました。

 中学1年生は先週27日(金)、東京テレポートにあるフジテレビの湾岸スタジオで、「目覚ましテレビ」の模倣版とも言える「フジテレビのお仕事!」という体験学習をしてきたばかりですが、本校の教育方針の一つ、「本物から本質に迫る教育」を地でいくような体験をして、一回り大きく成長したような印象を抱きました。と申しますのは、117名、クラスを解体して4チームに分かれ、「目覚ましテレビ」で実際にやるようなニュース、天気予報、「ここ調(しら)」(事前に学校でアンケート等取って調べた内容を紹介するもの)を、リハーサル、本番とフジテレビの担当の方々から手取り足取り指導して頂いた結果、分秒という時間の大切さを身をもって感じ取ってくれたように思います。大人社会の仕事体験を通じて、何かしら得てくれたように思われて仕方がありません。

ディクテーションチェック

ディクテーションチェック

ペアワーク

ペアワーク

中学 1 年生「数学」連立不等式を学ぶ (2017.10.26)

 先週末襲来した台風 21 号では、各地に甚大な被害が出てしまいましたが、本校でも 23 日(月)は、交通機関の乱れもあり休校と致しました。ただ、当日は、高校 2 年生の修学旅行 出発日、広島・四国方面、伊勢・関西方面、東北・北海道方面と今年で 3 年目となります多方 面修学旅行に向けて、東京駅、新横浜駅での集合としておりましたが、朝のうちから横浜線が全線不通となったのに巻き込まれ、新横浜駅集合班のみ、2班に分かれての出発を余儀なくされてしまいました。その後は各地天候に恵まれて順調に日程をこなしております。

 さて、校長の授業参観記第2弾ですが、校舎3階から山頂部に美しく冠雪した富士山が 望まれる中学1年 2 組の数学の授業をご紹介致します。

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 植竹教諭は、今年度中学 1 年生の学年主任として、1~3 組まで担当、その全ての授業で アクティブ・ラーニング型授業(以下 AL 授業と表記)を実践、日々試行錯誤しながらも、生 徒自身或いは友達同士、互いに協働しながら、受け身になることなく、学習に自発的に取 り組む姿勢、自ら調べ考える習慣をつけていくことを目指しております。 本日の授業は、「連立不等式(1)」のワークシートプリント(No.55)に.示された各種問 題、前時間に配付し、解答を個人または班員相互に相談し合って解いた答えを、指名された各班の代表が板書し、それを丸付け係と称する生徒が前に出て正解の場合には〇、不正解の場合は訂正してあげる、という手法で授業が進められ、その途中で、植竹教諭の適時適切な指導、助言がなされるという展開、この間、生徒は自分の答案に目通しし、正否の確認をしたり、よく理解できない問題について友達と協議したりという活動がなされてい ました。続いて、本日新たに配付されたワークシート No.56 「連立不等式(2)」の問題に取 り組み始めましたが、ここでもまず個人で考え、解き始めますが、途中で行き詰まると、班員と相談したり、場合によっては班を抜け出し、他の班のメンバーと相談したりすることも可能となっております。この段階で教室のあちこちから「ああ、なるほどね」とか「で きた!」「やったー!!」「なんで?」「これあってないの?」など、特にまだ声変わりしていな い男子の黄色い喚声が上がります。自分で理解出来ていなかったことが、友達の一言によって、分かった時の感動表現として微笑ましく聞いておりました。学校行事などの各種イベントの中でこそ、詠嘆、感動の場面によく遭遇しますが、このように日常の授業の中で の「笑顔と感動」こそ貴重なものはないのではないかと見ている私の方が嬉しくなりました。

「学び合う」生徒たち

「学び合う」生徒たち

「教え合う」ことで成績も向上

「教え合う」ことで成績も向上

 

 数学の得意な生徒が、やや不得意な生徒に誇らしげに教えている姿もまた美しくなにものにも替え難い光景でもありました。

 AL型授業については、教科、学年によって、その取り組み方は様々ですが、植竹教諭の場合、以下のような目標を見据えながら実践されていますので、その一端をご紹介致します。

  • 班員同士互いに教え合うことで相互の理解力を高めること。
  • 一見、教わる方にだけ得があると思われがちであるが、教える側と教わる側で、どちらがより勉強し理解できるかと言うと、多くの生徒が教える方と答えていること。
  • 一部の生徒が理解してどんどん先に行くことではなく、クラス全員が理解すること、つまり、誰一人として遅れる人を作らないことが最大の目標である。そうすることで、教える側の生徒の理解度も高まる結果となること。

 本日の授業でも、授業の合間合間に適切な指導、助言を差し挟むことで、上記のような目標を生徒自身にもしっかり認識させながら展開されていたことを目の当たりにさせて頂きました。中学1年生というまだまだ無邪気で価値観も定着していない子供達に、粘り強くかつ教師自身いかに忍耐強く継続的に取り組んでいくかが、このAL型授業実践に不可欠なことであることを実感させられた授業でもありました。

 

 

 

 

五十嵐校長の授業参観記 第48回衆議院議員選挙を目前に (2017.10.12)

平成29年度スタートに当たり、従来の「五十嵐校長のWeb日記」に代わり、今年度は「五十嵐校長の授業参観記」なるものを折々に紹介させて頂く旨、宣言させて頂きながら、諸般の事情により、今年の秋も深まり行く頃になってしまいましたことをまずはお詫び申し上げます。遅ればせながら、本日始動、偶々高校2年生の公民科「時事問題」という授業の中で、目前に迫ってきた第48回衆議院議員選挙の模擬投票を取り上げてくれましたので、時宜を得たものと思い、早速に紹介させて頂きます。

*実施学年・科目・単位数(人数)・担当教諭名:高校2年生(文系)・公民科選択科目(時事問題)2単位(11名)・染谷秀子教諭*実施日時・場所:平成29年10月12日(木)2限・Learning Square

この「時事問題」という科目は、まさに世の中で起こる森羅万象が素材になるもので、

日々、時々刻々に生起する日本はもとより世界各地の諸問題を授業の題材として取り上げ、それぞれの問題について分析しながら、自分の意見を毎時間最後に書いて提出することになっております。そして毎月初めの授業で、先月の問題について、日本、海外とに分けて発表することで、認識の定着を図っております。この作業を継続していく中で、多様な意見を持つ仲間達と議論・協働しながら一定の結論に達する、或いは結論は敢えて出さないまでも、意見交換を交わす中で互いの思考力・判断力・表現力を高め合うことを目的にしております。

10月12日(木)の授業は、上記の通り、10月22日(日)に予定されている衆議院議員選挙を前提に、11名の生徒全員が、候補者になったつもりで、各自の政策を発表し合った後、参観している教員ならびに候補者全員も即投票に移るという流れで展開されました。所属政党は、自民党や民進党などの既成政党の他、都明党、獅子党などの新党結成者、さらには無所属と、創意工夫を凝らしながらも、今回の衆議院選挙における混乱ぶりを反映したようなユニークなものもあり、参観する有権者の興味関心を高めておりました。

さて、いよいよ各候補者の政策の発表となりましたが、11名全員前に出て、声高らかに政策を訴えるかと思いきや、普段からおとなしい学年という定評を得ている学年の本領発揮、まず恥ずかしさが先行し、どうしても自ら作成したメモを見ながらの発表が多かったのはやや残念ではありました。選挙においては、政策の中身もさることながら、声の大きさや発表態度、時にははったりなども必要とされるだけに、有権者の心にどのくらい響いてくれたか心配な発表もありました。ただ、政策の中身という点では、11名中9名まで最近都議会でも話題になった受動喫煙防止に関わる案件を強調していたのは印象的でした。

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各候補者のポスター掲示                     候補者による政策発表風景

互いに相談してそのような案件を取り上げたことでないとしたら、若者にとって、最早喫煙は縁遠いものとなってきていることを実感させられ、喫煙している方には申し訳のないことではあるが、日本の未来は色々な意味で明るいのではないかと思いました。一方で、若者の感性は種々様々で、巷間取り上げられているような消費税の問題、北朝鮮問題、憲法問題、東日本大震災の復興問題、労働者の働き方問題(プレミアムフライデー含む)、少子高齢化問題、原発ならびにエネルギー戦略の問題、国会議員の報酬削減問題(議員定数の削減含む)、人作り革命や教育の無償化問題等々、それぞれに説得力のある訴えが相次ぎ、我々大人自身、22日の投票日に向けて様々考えさせられる授業でありました。授業後の即日開票の結果、ここ聖ヶ丘選挙区においては、自民党の早川侑希さんがトップ当選となりました。早川さんの地元に密着しつつ、多様な政策について自信を持って力強く訴えたことが有権者の心に染みこんだものと思われます。さて、22日投開票の本番ではどのような結果となりましょうか?日本の未来を明るく切り開いてくれるような議員さんが沢山登場してくれることを心待ちにしております。

 

 

 

平成29(2017)年度本格的始動へ

 東京都心では、去る3月21日(火)に開花宣言の出た桜ですが、その後の低温現象のお陰もあり、ここ聖ヶ丘界隈では今が満々開、8日の入学式はまさに満開の桜のもとで無事終了致しました。4月7日(金)に始業式、それぞれ進級した中2、3,高2、3の4学年のみで29年度の幕開けをし、翌日の8日、中学1年生(33期生)117名、高校1年生(30期生)118名を迎えての入学式を挙行致しました。奇しくも今年度、本校は創立30周年となりますが、その節目の年もお陰様で順調にスタート致しましたことをまずはご報告申し上げます。ただ、この「五十嵐校長のWeb日記」も私が校長に就任して以来3年を経過致しましたので、この辺でリニューアルした方が良いかと思いまして、こういう形でお届けするのは今回をもって終了とさせて頂きます。今はまだ年度当初で、健康診断や各種オリエンテーションが続きますので、少し落ち着き、本格的な授業が軌道に乗ってきたところで、今年度は本校の授業について、校長の目から見た感想等種々ご紹介できればということで、今はまだ仮称ではありますが、「五十嵐校長の授業参観記」というような記事を折々に掲載していこうと考えております。

 「五十嵐校長のWeb日記」は、校長就任以来、各種学校行事の改革・改変が続いたことと、東京郊外多摩市に位置する1学年120名という、共学の中高一貫の学校としては、都内でも数少ない小規模校ということもあり、一般的には知名度も高くなく、中学受験を志しているお子様はもとより、保護者の方々にも余り知られていないのではないかという危惧・懸念から、HP上にバナーを立ち上げてもらい、四季折々、自然豊かな多摩丘陵の最高地点に位置する学校で、中高6年間、人生のまさに疾風怒濤の時期に、確かな学力と豊かな人間性を養うべく、「何を、どのように学び、何ができるようになっているのか」をつぶさにお知らせする手段として継続して参りました。ただ、校長就任以来、3年を経過して、改革してきた学校行事もほぼ定着し、昨年あたりは、取り上げる記事によっては過年度と繰り返しになってきたこともあり、この辺で一旦終息させ、今まで折々に綴って参りました教育理念のようなものが、具体的な授業の中でどのように展開されているか、またそこでは「生きて働く知識・技能」をどのように習得させ、それらを活用して「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等」をしっかりと育成しているか、或いは「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習」がなされているか、等々について検証していければと考えております。担当教諭の授業展開の都合もあり、定期的に掲載していけるかどうか今だ定かでない部分もありますが、お時間のある折々に、引き続きご覧頂ければ幸いです。

 さて、29年度の幕開けに関してですが、4月7日(金)の始業式の講話では、本校創立30周年という記念すべき年に、現役生徒として在籍できたことの幸せを噛みしめ、学習に部活に各種委員会活動に積極的に取り組んで欲しいということと、それぞれ進級してクラス替えもあったことから、新しいクラスで新しい仲間と出会えたこと(私の座右の銘とする「邂逅こそ人生の重大事」)を大切に、「敬愛奉仕」の建学の精神を忘れずに「みんな違ってみんないい」の言葉通り、互いの個性、人格を大切に、末永く付き合っていける友人を作って欲しいとした上で、桜が満開になっていたこともあり、「様々なこと思ひ出す桜かな」の芭蕉の俳句を紹介しながら、3月23日(木)の修了式以来たった15日しか経っていないのに、この間に起こった国内外の事件・事故について思いを馳せて欲しいとして、まずは3月27日(月)、栃木県那須温泉ファミリースキー場での雪崩による7名の高校生と1名の教諭が犠牲になった事故の痛ましさと、その後報道された「絶対安全」という言葉の持つ重みについて触れさせて頂きました。それぞれに志を持って高校時代を送っていた将来有為な若者の命が一瞬にして奪われた不条理さに思いを馳せると共に、今ここに無事存在していることの有り難さに感謝しつつ、今年もまた明るく元気に過ごして欲しいと結びました。もちろん、国の内外で起こっている様々な事件として、千葉県我孫子市で遺体で発見されたベトナム籍のニャット・リンちゃんの件、ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクの地下鉄爆発事件、さらにはシリアで化学兵器によるものではないかと言われる多くの犠牲者が出た件など、混乱する国際情勢についても常にアンテナを張り巡らせられるような、感受性豊かにして知的好奇心旺盛な若者であって欲しいと致しました。

 翌8日(土)の入学式、暦の具合から土曜日になったこともあり、例年以上に多くの保護者の方々にご参列頂き有り難く感謝申し上げております。中学・高校合同の入学式が伝統になっていることから、講堂の収容人数を超えるのではないかと心配し、予め折り畳み椅子も用意致しましたが、何とかお詰め頂き事無きを得ました。生憎の小雨模様でしたが、中学1年生が前述の如く33期生ということで、既に学年主任の方で「Sun Sun communication」と名付けた学年通信を、4月7日(金)、最初の登校日に第1号、8日には第2号を発行しておりましたので、それに合わせて「燦々と輝く33期生」とネーミング、桜が満開で上々の首尾であったが、燦々と輝く太陽に嫉妬した雨がまさに焼き餅焼いて降ったのではないかと前置きして、固くこわばっている新入生を和らげた上で、保護者並びに生徒諸君が、東京都・神奈川県内、たくさんある公立、私立学校の中から本校に入学して頂いた事への御礼と感謝を、まず申し上げ、もしかしたら本校が第1志望でなかった人もいるかも知れないが、と前置きした上で、残念ながら昨年の暮れに亡くなった渡辺和子元ノートルダム清心女子大学名誉学長のベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』を紹介しながら、入学した学校が第1志望であったと気持ちを切り替え、本校での出会いを大切に明るく楽しく元気よく6年間或いは3年間を送って欲しいとまず訴えました。保護者の皆様には、学校説明会では毎回のように「少人数できめの細かい指導」と申し上げてきたように、大切なお子様をまさに「掌中の珠」として、教職員一体となり、親身になってしっかりご指導申し上げ、面倒を見させて頂く所存でおりますのでご安心下さい、と致しました。最後に一首、当日の個人的感懐として、「頬紅く染めてはにかむ新入生今日から君も聖の仲間」と拙い短歌をご紹介したところ、会場から思わず拍手を頂き恐悦至極に存じました。このような心根の温かい子ども達並びにその保護者の皆様と、この学舎で一緒に過ごさせて頂く事の幸せも噛みしめさせて頂いた入学式でした。
 
 一日、間を置いて今日は全校生徒の健康診断、学年毎の集会行事等、年度初めのオリエンテーションとなっており、中学1年生は明日から2泊3日の予定で、千葉県の九十九里浜白子にてオリエンテーション合宿となります。これもまた毎年恒例の行事ですが、入学後2日をおいての宿泊行事で、保護者の皆様には何かとご心配の向きもあろうかと思いますが、これから始まる本校での6年間の学校生活の基礎・基本的な事を身に付けてもらう大事な行事です。これが終わるとまた一回り大きく成長して、一気に学校生活にも慣れてくれますので温かくお見守り下さい。私も全日程ご一緒し、一人ひとりのお子達の日々の成長の様子をつぶさに拝見してきたいと思います。

 その他の学年では、明日まで健康診断、身体計測が続き、水曜日には高3が授業入り、その他の学年は実力テストとなっておりますが、その後は各学年とも本格的な授業開きとなる予定です。今年度も大中小様々な学校説明会を予定しておりますので、折々にホームページ等ご覧頂き、中学・高校の受験生並びにその保護者の皆様には、是非一度本校に、来て見て聞いて知って頂き、本校教育へのご理解を深めていただければ幸いです。今年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

27期生の卒業式終了、前途洋々巣立ち行く

 三寒四温の言葉通り、春の芽吹きを助ける雨も降りながら、季節は確実に春本番に向けて動いておりますが、何とそれを象徴するかの如く、15日(木)の朝、私の部屋の裏に広がる八坂神社の境内から、鶯の初音(はつね)が聞こえて参りました。例年この頃に鳴き出すので、早朝出勤する度に耳傾けておりましたが、漸く今年も鳴いてくれました。「初音」と言えばやはり『源氏物語』23帖「初音」の巻、「年月を松に引かれて経る人に今日鶯の初音聞かせよ」の歌を思い出してしまいます。光源氏36歳の新春正月、この世の極楽浄土の如き六条院、紫の上のもとで養育されている明石の姫君に、生母明石の御方から贈物とともに届いた和歌ですが、新春でも娘に再会できぬ実母の切実な思いを哀れに思う光源氏の愁いに満ちた姿が彷彿と浮かんできます。時代が下って江戸時代の俳人其角に「鶯の身をさかさまにして初音かな」という句がありますが、先日の鶯は果たしてどんな格好で鳴いていたことでしょう。想像を逞しゅうしております。本校では昨日、27期生の卒業式を執り行いましたので、そのご報告を兼ねて3月第2報をお届け致します。

 少し遡りますが、去る3月9日(木)朝、ニュージーランド修学旅行に出かけていた中学3年生が無事成田空港に着陸致しました。総員103名全員元気な姿で帰国致しましたのでまずはホッと致しました。かの国はまだ夏本番ということもあり、中には日焼け止めもままならず、焦げ茶色に日焼けした生徒並びに引率教員も目立ち、この間の我が国の寒さとは無縁の時間を過ごして来たことが強く印象づけられました。2週間という短い期間ではありましたが、英会話への抵抗も薄れ、今後の英語力が飛躍的に伸びる事を期待すると共に、日常生活面においても、自分の事は自分でする習慣を身に付けて来た人もいたりして、保護者の皆様には我が子の変貌ぶりに驚かれた方も多いのではないかと推察致しております。22日(水)の中学学習発表会で、この研修旅行の成果を、後輩諸君に発表してくれることになっており、学校行事版のアクティブ・ラーニングの完結版としての彼らのプレゼンテーション力に期待しております。

 3月10日(金)放課後、進路指導部主催で、中学1,2年生担当教員対象の今年度第3回目の「学力推移調査」結果を踏まえての研修会を開催致しました。年間の学力推移状況を、担当業者の説明を見聞きながら考察致しました。「少人数できめの細かい指導」を標榜している学校として、生徒一人ひとりの学力推移をしっかり把握し見極めることで、年度末の振り返りの資料とすると共に、上級学年に進級していく際に適切な指導・助言をすることで、更なる高みを目指して学んでいこうとする意欲を喚起しようという目論見もあります。この1年で学力が見違えるほど伸長した生徒もいれば、逆に停滞している、或いは下降気味である生徒もいる、などの分析・検証をしながら、各担任から個々の生徒への適切な指導がなされていく手はずとなっております。

 そして、昨日の卒業式、朝方こそ若干冷え込みましたが、日中はポカポカとした好天に恵まれ、絶好の卒業式日和となりました。本校27期生113名が巣立っていきました。この学年は、私の校長就任時の入学生として、個人的にも思い入れが強く、また、生徒諸君の中にも、親しみを抱いてくれた人も多く、校長就任時に、「校長室のドアはいつでもオープンですから、何か学校への意見、要望等あったらいつでも遠慮なくいらっしゃい」という話をしたこともあり、翌日すぐに何人かの生徒が「軽音楽部を創って欲しい」とか「サイクリング部を創って欲しい」とか、主として部活動の創設に関する要望を寄せてくれました。残念ながら、人的・物的制約もあり実現に至りませんでしたが、そんなことをきっかけにして、文化祭での有志バンドの顧問(今まで校長が依頼されたことなし)になったり、合唱コンクールの際の学年有志の中に入れ込まれたりと、様々な場面で、かなり緊密な付き合いをしていくと共に、彼ら自身、文化祭や体育祭などの学校行事の改革・改善に積極的に取り組んでくれて、私自身の学校行事改革(例えば、高2の修学旅行を学年・クラスを解体して、各自の希望で3方面に分かれて実施したことなど)に結果として、大いに協力してくれました。時として、学校のきまりを破ったり、羽目を外したりということも多々あったようですが、全体的にエネルギーに溢れた、仲間同士乗りやすくまた人を乗せやすい、人なつっこいところのある学年であったように思います。卒業生の答辞の中にも「本当に手の掛かる私達を先生方は叱りながらも笑い、見守り続けて下さいました」という文言がありましたが、昨日の謝恩会の席上、司会をした二人の卒業生に促されるまま、中1から高3まで、担任等、何らかの形で関わってきた先生方の発言の中に、如何に大変な学年であったかという言葉も綴られたように、教員の手をたくさん煩わせた学年であったことは否めないようです。生徒に裏切られるのは教員の宿命ですが、裏切られ裏切られながらも、私がいつも言っているまさに「掌中の珠」として6年間慈しみ大事に育ててきた結果として、確かな学力と豊かな人間性を身に付けて卒業してくれたと思います。私の式辞の中で、最後に一首お贈りした短歌は、「今日佳き日 We are Hijiriと 巣立ち行く 貴(あて)に優なる 君に幸あれ」でしたが、思わず会場から拍手が沸き起こったのには感動致しました。「君達の長い人生において、ともに聖っ子であることに誇りを持って、自分を誤魔化すことなく、気高く、品良く、しなやかに、そして優美に生きていって下さい。」と結びました。ちなみに、「We are」というのは、今年1月9日(月)、NHKで放映された「ONE OK ROCK 18祭~1000人の奇跡We are~」で、初めて披露された「We are」という曲によるものです。その曲の歌詞の一節に「鏡に映った僕が問いかける、自分を誤魔化して生きることに意味はあるか」とあり、それを引用させて頂きました。私自身、それまでONE OK ROCKというロックバンドの存在を知らなかっただけに、彼らの発する強烈なメッセージは、私などのやや干からびた感性を呼び覚まし、血湧き肉躍るような快感でしたので、18歳世代の無限の可能性を信じ、式辞の中で援用させて頂きました。27期生の前途洋々たることをお祈りしております。

 そして、年度末となりますが、前述のように、22日(水)は、中学学習発表会、中1から3年まで一堂に会し、中学2年生のイングリッシュ・キャンプの報告、中3の卒業論文優秀作の発表と朗読、更に先日帰国してきたばかりのニュージーランド修学旅行の報告と続きます。アクティブ・ラーニングの学校行事版として、最終的なプレゼンテーションをすることで完結致します。中学学習発表会は、保護者の方にも公開致しますのでご都合のつかれる方にはお出で頂き、彼らの活躍ぶりをご覧頂ければ幸いです。実質的な教育活動はそこまでとなり、23日には中学3年生(内部生)の卒業式並びに修了式を実施して、平成28年度を締めくくります。

年度末、何かと慌ただしくも、春間近

 昨日、3月5日(日)は、二十四節気の「啓蟄」、虫が冬眠から目覚め活動を始める頃、という意味だそうですが、このところ毎日のように日中の平均気温も10°Cを越えておりますので、地中の虫も動き出しているかも知れません。「行楽須く春に及ぶべし」、春爛漫の好季節もすぐそこまで来ているように感じられますが、本校では期末考査も今日で終わり、教員側では採点や年度末の成績処理に追われる日々が暫く続き、3月17日(金)の高校卒業式を迎える運びとなります。2月23日(木)以来の校長日記ですので、この間の各種行事のご報告を兼ねて3月第1報をお届け致します。

 2月24日(金)、前回ご紹介の通り、中学3年生がニュージーランド修学旅行に出発致しました。現地での模様は、本校HP上で、大きな写真入りで日々ご紹介の通りです。現地校での英語研修はもとより、様々なアクティビティも存分に楽しんでいる様子が垣間見られ、私などまだ行ったことのない身には羨ましく感じております。

 翌25日(土)には、今年度最後となります第7回学校説明会を開催、2月実施の今年度入試の詳細な報告会となりましたが、12月からの説明会では、小学6年生に限定していたこともあり、現小学5年生を中心に、4、3、2年生まで40組80余名の方々にご出席頂きました。私からは例によって、聖ヶ丘の教育の特色、主として、不易流行の教育を中心に、1学年120名という少人数であるがゆえに可能となる習得・活用・探究学習、それらによって培われる思考力・判断力・表現力の育成、さらには21世紀型教育のキーワードとなっている主体性・多様性・協働性の涵養を図る教育手法(いわゆるアクティブ・ラーニングを含む)などについて説明させて頂きました。石飛教頭兼広報部長からは、2月1日(水)~5日(日)まで、適性型入試を含め都合6回にわたり実施した中学入試の概要、各回の合格点や平均点など詳細な結果報告をし、来年度入試に向けてのスタートとさせて頂きました。途中に、今春卒業する高校3年生の男女2名による、本校での6年間を振り返っての話も入れさせて頂き、生徒の目から見たざっくばらんな聖ヶ丘の教育についても熱く語ってもらいました。

 終了後頂いたアンケートでは、「貴校の雰囲気がよく分かる説明会でした。少人数が魅力だと思いました。生徒の方のスピーチがしっかりしていて感心しました。」とか「教育の多彩さと手厚さが印象に残りました。また、先生方、在校生の皆さん、卒業生の皆さんのご様子から温かな校風も感じられました。」などとても有り難いコメントをお寄せ頂く中で、些か手前味噌ですが、「校長先生の愛校心がよく伝わってきました。少人数制にとても魅力を感じ、是非息子に・・・と思います。」というお声もあり、私の説明のどの辺から「愛校心」を感じ取って頂いたのか分かりませんが(これまた些か身びいきですが)、常日頃からこんな良い学校は他にないのではないかと思っていることがにじみ出たのかも知れません。中には、ご兄弟が在校中である保護者の方にもお出で頂き、「長男が在校生なので、少人数できめ細かい指導やたくさんの体験もさせてもらえる多摩聖の良さを改めて感じました。」というコメントを頂き、身の引き締まる思いが致しました。さらには、お母さんが卒業生である方もお見えになっていたとのこと、我が子を母校に、という思いほど有り難いことはないと確信させて頂きました。

 同じ25日(土)、3・4時間目を活用し、高1・2年生を対象に、卒業生による進路ガイダンスを実施致しました。全17大学19人(大学の重複2名、現役薬剤師1名含む)のOB・OGに来てもらい、今まさに自らがそれぞれの大学・学部・学科等で研究していることの紹介を中心に、学問の魅力、研究の楽しさ、大学生活の魅力等について、可愛い後輩に熱く語ってもらいました。教師が説明するよりも、年齢も近く、部活の先輩でもあったりすることで、各説明がストレートに心に響くことが多いようで、このガイダンスをきっかけに、自らの進路を決定した生徒も多々いるようです。ここで来てもらった先輩の中には、日常的に、図書館の夜間開室のコーチャーであったり、定期考査前の学習コーチャーとして足を運んでくれたりと、後輩への思いの熱さから、よく面倒を見てくれている人も多く、自ずから先輩・後輩の絆も強くなり、これまた少人数ならでは可能なイベントとして、聖ヶ丘の伝統行事になっております。

 3月に入って、2日(木)から期末考査となっておりますが、4日(土)には、去る2月12日(日)の高校入試に合格し、3月3日(金)手続き締め切りで、入学を決めて頂いた高校入学予定の生徒対象の準備会を開催致しました。内部から上がってくる新高1年生の定員の関係もあり、今年は18名の入学生(本校では高入生と称しております)を迎え入れることとなりましたが、全員出席のもと、私から歓迎の挨拶並びに座右の銘としております「邂逅」の重要性等についてお話をさせて頂くと共に、有岡教頭からの高校生活を送る上での諸注意、さらには事務的な説明等の後、早速制服の採寸や教科書販売、さらに体育着や体育館履き等の選定をお願い致しました。中学1年生となる生徒諸君同様、公立・私立、たくさんある学校の中から、本校への入学を決意して頂いたことに感謝申し上げると共に、悔いのない3年間を送ってもらえるよう、教職員一体になってサポートしていきたいと思います。

 同じ4日(土)、新高校2年生に編入する生徒対象の転・編入試験を実施、今年は中国からの留学生で、日本の各地の高校で1年間修了する見込みの生徒3名が応募してくれました。国語・数学・英語の3教科と面接をさせて頂いた結果として、2名を合格と致しました。在校生には、留学生との積極的な交流を通じて、よりグローバルな視野を深めてもらうと共に、教職員にとっても、多様なものの見方、考え方をする生徒を受け入れることで、言わずもがなではありますが、異文化理解という面においても、様々な刺激となるものと期待しております。
 

中学3年生、いざニュージーランドへ

 2月17日(金)、午後からの春一番、ここ聖ヶ丘界隈は、多摩市の最高地点(161.7㍍)でもあり、凄まじい強風が吹き荒れましたが、残念ながら雨にはならず、翌18日、二十四節気の雨水にも降らず、20日(月)の夕方になって漸く待望の雨がかなり強く降りました。草木の芽吹きを助けるまさに干天の慈雨そのもの、公園の枯れ木の枝の蕾も幾分膨らんできたように感じられます。全国の桜の開花予想も出始め、春本番の様相を呈して参りましたが、皆様にはお元気でお過ごしのことと存じます。取り分け、長く厳しい受験勉強を続けてこられた小学6年生の皆さんには、それぞれの志望校に合格され、後は4月の入学式に向けての準備に余念なき頃かと拝察致しております。本校では、明日(24日)に、中学3年生が、14日間に及ぶニュージーランドへの修学旅行に出発致します。その事前学習の様子等ご紹介しがてら2月第2報をお届け致します。  

 2月10日(金)以来の校長日記ですので、この間の催し等若干触れさせて頂きますが、まず、12日(日)に前回ご案内の通り、高校入試を実施、ほぼ募集人員に見合う合格者を出しておりますが、入学者数の最終決定は、明日24日(金)実施される都立高校入試の結果が発表される3月2日(木)以降となります。併願されている人には延納願を提出して頂いておりますが、第1志望校への合格を祈りながらも本校への入学手続きを取って頂く人の多いことを祈らざるを得ないという複雑な心境に陥っております。

 同じ12日(日)には、中学入学準備会を開催、全体会の会場では、私の挨拶に続いて、教務部長、生徒指導部長等から、改めて本校の教育方針や入学に向けての心構え、事務手続き等について説明し、その前後で、制服の採寸や、学校指定の体育着や各種の靴のサイズ等決定して頂きました。期待と不安の中での船出となるだけに、緊張感に包まれながらも、皆さん一様にホッとされているような雰囲気も感じられました。4月8日(土)入学式で再会することを今から楽しみに致しております。

 私事になりますが、2月14日(火)、10時から「Education DIAMOND」の取材を受けました。毎年5月20日前後に発行されているもので、昨年の見出しは「父親必読 『生きる力』が身につく86校」とありましたが、今年も5月中旬に発行される予定になっておりますので、書店或いは駅売店等でお見かけになったら、是非お手にとってご覧頂ければ幸いです。校長3年目を終了し、本校の教育改革の軌跡を辿りながら、2017年度もまた、2016年12月21日に中教審から文科省に答申された新学習指導要領の理念を踏まえながら、社会の要請に適時適切に対応する教育活動を展開していく旨の説明をさせて頂きました。

 さて、明日出発する中学3年生のニュージーランド修学旅行に向けての事前学習ですが、この学年から既に中学2年の秋10月、2泊3日のイングリッシュキャンプを実施すると共に、週2時間ALTの授業を導入し、英語、取り分け英会話に重点を置いた指導を展開してきたことから、今回の成果が例年以上に大きなものとなることを期待しております。

 ここ数日の事前学習としては、2月20日(月)には、府中市郷土の森博物館内にあるプラネタリウムに出向き、北半球・赤道・南半球で見られる星や太陽の動きを見学してきました。南半球に位置するニュージーランドの星座を体感し、その美しさに感動することと楽しみにしております。そして、21日(火)、22日(水)の両日、10人の外国人講師を校内に招き、ニュージーランド直前英語研修を実施致しました。いわば校内版イングリッシュキャンプ或いはエンパワーメントプログラムとなりましたが、1人の外国人講師にほぼ10人ずつのグループ編成をし、ニュージーランドのオークランド空港に降り立つやいなや、ホストファミリーが迎えに来て、そこからすぐホームステイに入りますので、朝から晩までの日常会話に困らないようなスケジュールのもと、いかに「Don’t be shy speak up」するか、何回も強調していた講師の会話が印象的でした。10人の講師の国籍は、イギリス、アメリカ、カナダ、ジャマイカ、フィリピン、シンガポール、ニュージーランドと多種多彩であったこともあり、単に英会話の練習のみならず、彼ら出身地の歴史や文化等にも接することができ、グローバルな視点を養う参考にもなったことと推察致しております。昨日の午後のClosing Ceremonyでは、全外国人講師ともに、全て英語での挨拶をしており、私などは片言しか分からず、笑うべきところでも即時対応できなかったにも拘わらず、彼らはその全てを即時に理解できていたようで、その反応の良さには感服致しました。これで、2週間、現地に滞在し、ホストファミリーとの日常生活もさることながら、現地校で共に授業を受けたりする経験などを通して、かの国の若者とも積極的に交流し、将来的に国際舞台で活躍するような気概と意志の強さを身に付けてきてもらえれば幸いこの上もありません。激動する国際社会の中で、最も安心・安全なニュージーランドでもありますので、滞在中のことに関しては、余り心配はしておりませんが、2週間無事終了し、一回りも二回りも大きく成長して帰国することを心待ちにしております。

 そして、25日(土)には、午後3時からとなりますが、今年度最後の学校説明会を開催致します。実質的には、2017年入試を終えての詳細な報告が中心となりますが、私の方からも、本校の教育の特色等についても詳細な説明をさせて頂く予定ですので、小学5年生を中心に、3,4年生の皆さんにも大勢お出で頂くことを楽しみにしております。もちろん中学2年生の皆さんにも、来年度の高校入試を視野に、参考になる事も多いかと思いますのでお出で頂ければと思います。本校の良さは、校舎の位置する環境面での風光明媚な点もさることながら、校舎内外の施設・設備面等を含め、やはり、一度、来て、見て、聞いて頂く事で実感して頂けるものと確信しております。万障お繰り合わせの上お出かけ頂く事を心待ちに致しております。

中学入試終了、高校入試へ

 「春は名のみの」余寒が続きますが、皆様にはお元気でお過ごしでしょうか?昨日、ここ聖ヶ丘界隈では冷たい雪が降り続き、1日中留め置いた車上には3cmほどの積雪がありました。多摩ニュータウン通りには積雪皆無でしたので、さすが多摩市の最高地点、標高161.7mだけのことはあるかと妙な感覚に襲われました。2月1日(水)から断続的に5日(日)まで、適性型入試を含めて都合6回に及ぶ2017年入試が終了致しました。それぞれに厳しい結果となり、残念ながら不合格になってしまった小学生諸君には申し訳のない事を致しましたが、いずれも定員のあることでもあり、ご理解頂きたいと思います。1月28日(土)以来の校長日記でもあり、入試の状況も織り交ぜながらこの間の出来事についてご報告させて頂きます。

 まず、1月30日(月)17:00~19:00まで、多摩大学役員室にて、「高大接続アクティブ・ラーニング研究会」の創設に関わる会合が持たれました。既に多摩大学のHP上「2017 News Release」に大きく写真入りで掲載して頂いておりますが、本研究会は「アクティブ・ラーニング技法の研究・開発を目的とし、教員の授業力・教育力・教員力や職員の専門性(アドミニストレーターの役割)の向上を図ると共に、高大連携により、学生や教育の実態をより客観的に把握し,教育改革を図る」ことを目的に、発足致しました。多摩大学から、久恒啓一副学長、杉田文章事業構想学科長、金美徳アクティブ・ラーニング支援センター長、多摩大目黒中高等学校から、松井晋作、山崎隆志、越前泰子各教諭、そして本校から出岡由宇、藤永万里子、鈴木寛之、金高護各教諭と私が出席致しました。本格的には4月からの活動となりますが、多摩大学と2つの中学高等学校との最新の教育改革を見据えながらの共同研究の行方に期待しております。

 翌1月31日(火)には、渋谷区神山にありますニュージーランド大使館にて、「2016年度ニュージーランド教育プログラム永年継続表彰式」が催され、全国4校の中に本校も選ばれましたので、私と中学3年学年主任の歌田教諭とで出席致しました。本校のニュージーランドへの教育旅行は、本校の中学1期生に該当する学年が1993年3月に出発して以来、この2月24日(金)に出発する中学3年生(30期生)に至るまでの24年間継続して実施しており、参加生徒数は延べで2800名ほどになります。この間しかし一件の事件・事故もなく実施できていること自体素晴らしいことで、表彰を受けた後での御礼の挨拶では、私の方からそのことを一番に強調させて頂きました。当日は、ステファン・ペイトン ニュージーランド大使始め、政府観光局の猪膝日本局長、ピット・美佐子教育担当官に加えて、ニュージーランド航空のペリエ・クロビス支社長、渡辺光哉アカウントマネージャーなど多数の関係者の歓迎を受け、恐悦至極に感じると共に、永年積み重ねてきた先輩諸氏の尽力の賜物と感謝した次第です。当日頂戴した表彰状と楯は校内の陳列棚に飾ってありますので、ご来校の折りにご覧頂ければと思います。また、当日とても良い出会いをさせて頂いた教育担当官のピット様には、ニュージーランドへの留学についても貴重はアドバイスを種々頂きましたので、今後詳細を詰めながら新年度に向けて検討を重ねたいと思っております。

 そして、2月1日(水)からの中学入試を迎えました。5日(日)までの全期間、寒さこそ尋常ではありませんでしたが、雨や雪に祟られることもなく、平穏に推移致しました。1日・3日・5日の午前は、国語・算数・理科・社会の4科或いは国語・算数の2科選択、1日・、2日の午後は2科のみの受験、そして2日の午前中は適性型入試のみの実施でした。それぞれに大勢の小学生に受験して頂いたことにまずは御礼申し上げますと共に、適性型入試には今年から実施した他校も多くあった中で、本校3年目にして106名という多くの受検生に挑戦して頂きました。本校の適性検査Ⅰ(作文型)Ⅱ(資料型)は、都立(一部神奈川県立含む)の中等教育学校の適性検査を意識しながら、その模擬テストのつもりで取り組んでもらえればということで、翌2月3日(金)の本番に備えて何かしらの参考になればという思いから、その日の夕方までにそれぞれの担当者が採点し、然るべきアドバイスを付記した答案をPDF等で受験生の自宅まで返送申し上げるという特典を付けております。毎年のことながら、受験して頂いた皆様で、都立等合格した方々からは、御礼のお電話等頂くことも多く、大変な作業ではありますが、その努力が報われたことへの安堵感は感じております。学校こそ異なりますが、やがてこの国の将来を担って頂く前途有望な若者の成長の一端を担わせて頂いたという自負だけは感じさせて頂いております。一方で、一般型・適性型問わず、残念ながら第1志望校への合格叶わず、本校への入学を決意して頂いた受験生も少なからずおられるかと思いますが、多くの中高一貫の私学の中から、本校をお選び頂いたことにまず感謝申し上げると共に、その選択が誤りではなかったということを、今後6年間にわたる学校生活の中で実感して頂くよう教職員一体となり、いつも学校説明会でも申し上げているように、大切なお子様をまさに「掌中の珠」としてお預かりし、確かな学力と豊かな人間性を育成すべく尽力していく所存でおりますので、安心してお任せ頂ければと存じます。2月12日(日)には中学入学準備会を開催致しますので、その席でもまた私の方からお話しさせて頂きますが、不易流行の教育を常に念頭に置き、私学としての最も根本的な建学の精神を堅持しながら、激動する社会状況に迅速かつ果敢に挑戦出来るような人材を、保護者の皆様ともどもに育成させて頂ければと願っております。

 さて、一方で、2月12日(日)には高校入試も実施致します。こちらは今年度30名ほどの募集ではありますが、現段階で41名の中学3年生が応募してくれております。本校では高入生と呼んでおり、毎年、人数こそ多くはありませんが、中学から上がってくる所謂内部生にとっても刺激的な存在となってくれており、今年もまた一人でも多くの人が入学して下さることを祈りながら2月第1報と致します。