TO学習、AALを取り入れ英語4技能の習得へ (2018,6,14)

    前回ご紹介した茨城県立並木中等教育学校の中島博司校長による「アクティブ・ラーニング2018―AL指数・R80・TO学習の考案―」と題するアクティブ・ラーニング(以下ALと表記)に関する実践発表の中に、TO学習とAALという用語が含まれておりました。TOとは、Teaching Othersの略で、他の人に教える学習スタイル、AALとは、Art Active Learningの略で、Art(色・音・形など)を駆使したアクティブ・ラーニングということになります。本日は、英語科の実習生でTO学習並びにAALを取り入れ、さらには50分の授業の中で英語の4技能(Reading,Writing,Listening,Speaking)を育成するためのあらゆる活動を取り入れた授業を実施してくれましたので、連日ではありますがご紹介致します。

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 中学1年生のこの時期、本格的な英語学習の導入期として、いかに英語に興味・関心を抱かせ、これから続く長い英語学習に対して、自ら主体的に学習に取り組む態度を養うとともに、多様な仲間と協働して、文字通り、「主体的、対話的で深い学び」を実現していくかという極めて重要な時期かと思います。今回実践してくれた村田さんの授業は、まずその評価規準として、1)コミュニケーションへの関心・意欲・態度としては、アクティビティにおいて、間違いを恐れず積極的に英語を使うこと、2)外国語表現の能力として、「What」を使った一般動詞の疑問文の用法を正確に理解し、相手に尋ねる文を書いたり、話したり出来ること、3)外国語理解の能力として、「What」を使った一般動詞の疑問文が使われた文を正確に読み取り、聞き取ることが出来ること、4)言語や文化についての知識・理解として、「What」を使った一般動詞の疑問文の作り方の知識を身につけ、理解する、という4つの評価規準を意識したものでした。具体的にイメージ化して頂くために、短文でもありますので、以下に教科書本文を引用します。

 Ken: What do you have in your hand?

 Emma: I have a book about bento. I like Japanese food very much.

  Ken: What food do you like?

 Emma: I like dashimaki. I sometimes cook it for my family.

 この本文を用いながら、まずListening practiceの用紙を配り、教師が読む内容を英語で書かせます。ここは意図的にKenの疑問文は、一文全てを書かせますが、Emmaの答えは基本単語のスペルをしっかり覚えさせるため、途中穴埋めにして単語を埋めさせました。読み方としては、始めはやや速く、2回目はゆっくりめに読んで、スペルに間違いのないように書かせた後は、自ら教科書を開いて自己採点をさせました。これがまず、ListeningとWritingの練習、その後、「What do you~?」と「What □□ do you~?」の文の作り方を板書しながら印象づけていきます。文の構造をしっかり確認した後、いよいよAALの展開です。Artは食べ物やスポーツなどを描いた様々なピクチャーカードですが、それを素早く提示しながら「What do you like?」と聞いた上で、それを素早く提示して、生徒がその絵に描かれているもの、例えばピザを見て「I like pizza!」と答えたり、或いは「「What do you play?」と聞かれたら、素早く示される野球の絵を見て「I play baseball!」と答えます。その繰り返しが実に心地よく、体が自然に動いておりました。この時メトロノームを使用し、その速さを3段階にギアアップして迅速に反応させていたのは印象的でした。「What ~」の文が終わったら「What + 名詞」の文型も練習させました。ここでは、問いと答えを男女交代にしたり、スクールバス利用の駅別に分けたり、様々なグループ別に試みていたのも生徒には刺激的且つ興味津々のようでした。しっかりたっぷりSpeakingの練習にもなっておりました。そしてこの授業のクライマックスとも言える本文の音読(Reading)に入りました。1文ずつ交代で行う手法として、ペアリーディングはもとより、1列の前から順番に最後まで交代で読ませる「竹の子読み」というのも興味深い試みでした。その過程で、前述の「TO学習」、相手の間違いを教えてやるという光景もあちこちで見られ、こうして相互の信頼関係が醸成され、延いては相互にリスペクトし合える人間関係が作られていくであろうことを実感致しました。最後に、Writing Practice として、Activity Sheetを配付し、多少の応用バージョンではありましたが、本時のまとめとして、「あなたはあなたのカバンの中に何を持っていますか?」「あなたはなんの教科が好きですか?」という日本語を英語に直させる練習をした後、この表現を使って友達に好きな教科(9教科提示)を聞いて回る作業(「Ask your friends what subject they like!」)を、Bingo Game形式にして実施、巧まずして、彼らは楽しみながらSpeakingの練習を教室一杯ワイワイガヤとチャイムが鳴るまで繰り返しておりました。後ろにいたある生徒がいかにも聞こえよがしに「I like English very much!」と呟いていたのは実に微笑ましく印象的でした。

 

フラッシュカードを使って

フラッシュカードを使って

ペアワークの開始です

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